2016年の年の瀬、日米の株式市場は「トランプ相場」に沸いた。米国の株価は史上最高値を連続して更新し、年央に停滞した日経平均株価も年初来最高値を超え続けた。
2017年1月20日の米国大統領就任式をきっかけに世界経済は新たな段階に入り、株価の上昇気流はさらに加速すると見られている。「米国ファースト」を掲げるトランプ新政権の政策がスタートするからだ。主な柱は、以下の通り。
◆10年間で6兆ドル(約700兆円)の大型減税(法人税率35%→15%など)
◆5500億ドル(約65兆円)の公共事業
◆大幅な規制緩和
国際金融論が専門の埼玉学園大学経済経営学部教授・相沢幸悦氏が解説する。
「公共事業といえば日本ではバラマキのイメージがあるが、米国は実際問題として老朽化した橋が落ち、道路はあちこちで陥没するなどインフラがボロボロで経済活動の障害になっている。それらを再建するインフラ投資は経済効果が高い上に、法人税を大胆に引き下げれば世界から企業が米国に集まる。雇用は大幅に拡大し、米国の産業は劇的に蘇る可能性が高い」
まさに世界の富を米国に集めようという「米国ファースト」の政策であり、政治的にも、米国議会はトランプ与党の共和党が上下両院で過半数を占め、新政権が発足すればいつでも推進できる状況が生まれている。
米国の株価が最高値を更新するのは、世界の投資家が株を買っているからに他ならない。他の主要国は「米国に富が奪われる」と警戒しているが、例外がある。それが日本だ。