三菱商事、三井物産が今期の業績を上方修正するなど財閥グループが好調だ。それを受けて、東京駅周辺では、この2グループに、住友グループも加わって不動産開発競争が起きている。都市開発において三井・三菱・住友の3財閥が切磋琢磨し、日本経済の発展を目指しているといえよう。
同じく財閥の切磋琢磨が見られるのが小売・流通業界だ。すでに国内のコンビニは大手3社にほぼ集約された。三井物産が出資する業界最大手のセブン-イレブン・ジャパンはPB商品が好調で海外の店舗も順調に増加し、三菱商事が親会社のローソンと、伊藤忠商事が親会社のユニー・ファミリーマートホールディングスは商社のネットワークと人材をフル活用して海外展開をめざしている。
2017年2月期の第3四半期決算の売上高は、大手3社とも前年同期より増加した。流通情報誌『激流』編集長の栗田晴彦氏は「商社は川上から川下まで対応できる潜在力を持つ」と指摘する。
「資源価格低下のリスクを分散すべく、非資源分野の拡大を図る商社にとってコンビニは重要なチャンネルです。商社は資源という『川上』から消費者に近い『川下』、かつその間を仲介する卸という『川中』までを自社グループで確立している。原料の調達からメーカーを経由して小売店までの一貫したラインを持つ商社の強みにより、コンビニを総合的に支えることができます」
コンビニは有力な「成長産業」であり、今後ますます期待が持てると栗田氏は指摘する。
「今後、多様なサービスや商品の調達、海外進出などグローバルな戦略まで見据えたら、商社との結びつきが強い大手3社には非常に優位性がある。三菱商事と伊藤忠の後押しによる波及効果が期待できますし、商社によるコントロールを許さない最大手のセブン-イレブンと三井物産の関係がどうなるかにも注目したい」
※週刊ポスト2017年2月24日号