立春が過ぎて暦の上では春。4月の転勤、進学、就職シーズンを前に、引っ越し業界は繁忙期を迎えている。物件の入れ替わりが激しく、料金も値上がりするこの時期、上手にすませて、ステキな新生活を始めたい。そこで損をしない引っ越し術を、不動産のプロに聞いてみた。
◆条件の優先順位をつける
物件探しは、探し始める前に希望条件を整理して、優先順位をつけよう。不動産サポートオフィス代表の秋津智幸さんが解説する。
「『築10年以内』、『間取りは2LDK』『駅から徒歩10分以内』『予算は15万円以内』といった条件は決めていても、何を優先させるのかがはっきりしていない人が多いようです。すべての条件を満たす物件はなかなかないので、探す前に希望条件を出して、優先順位を明確にするのが基本です。例えば、間取りと予算の優先順位が高い場合、距離はある程度妥協してもいいといった具合です」
陥りがちなのが、不動産業者でいくつもの物件を紹介されて、どれがいいのかわからなくなってしまうパターンだ。
「希望と違う物件を紹介してくる場合もありますが、優先順位が決まっていれば悩むことはありません」(秋津さん)
◆不動産業者に足を運ぶ
優先順位をはっきり決めたら、いよいよ物件探し。全国の物件をネットで検索できる時代だが、繁忙期の物件選びは、不動産業者に足を運ぶのがポイントだと秋津さんは言う。
「お店には、来月末に退去するといった連絡が直接入る物件もあります。退去の連絡が来たその日から、物件を紹介することができますが、広告用のチラシを作ってネットに載せるまでに1、2日かかってしまう。この時期はネットに載せるまでに決まってしまうことも多いです。直接足を運ぶと、退去が決まったばかりの物件を紹介してもらえることがあります」
◆チラシの見方
部屋探しで必ず目にする広告チラシ。敷金、礼金、家賃はもちろんのこと、その他や諸費用の欄も確認しよう。
「エアコン清掃料、クリーニング料、鍵の交換代、町内会費などの費用は《その他》や《諸経費》の欄に書いてあります。書かれていない場合は確認しましょう」(秋津さん)
不動産投資コンサルタントの長谷川高さんは「部屋の方角や駅からの距離は、自分で確認してほしい」と指摘する。
「矢印の方位が間違っていて、西向きだと思っていた部屋が、実際は北西でほとんど日が入らないこともあります。安い方位磁石を買って、測った方がいいですね。駅からの距離は80m=1分の計算ですが、実際に歩いてみてください」
※女性セブン2017年3月2日号