結婚式と違い、訃報は突然届くもの。準備ができないだけに、ご遺族になんと声をかけていいか、戸惑ったことはないだろうか? よかれと思って伝えた言葉が、相手の悲しみを増長させてしまうこともある。
予期せぬお別れに心を傷めることの多いこの季節、残されたかたへのお悔やみの言葉について考える。訃報を聞いたら、まず「御愁傷様です」や「お悔やみ申し上げます」と言うのは正しいのか?
これは、どんな間柄でも使える一般的な言葉。それだけに言い方には気をつけたい、と現代礼法研究所代表の岩下宣子さんは言う。
「“御愁傷様”は傷を愁う、つまり相手の悲しみを憂うという意味があります。同様に“お悔やみ申し上げます”も人の死を弔うことを指し、いずれも遺族の悲しみに寄り添うということですが、口調がはっきりしすぎたり、サラリと言ってしまうと、冷たい印象を与えてしまいかねません」
感情を込めずにはっきり言ってしまうと、“とりあえず言っているんだな”と相手が事務的に感じてしまう。それならば多くを語るより、言葉を濁した方がいいと、“大人力”で知られるコラムニストの石原壮一郎さんは指摘する。
「生前から知っている人なら、訃報を聞けば、多少なりとも動揺します。それを相手に伝えた方がよほどいい。言葉が出てこなければ、無理せず、絶句するのもアリです。また、御愁傷様です、とはっきり言うより、最後は“もごもご”と、消え入るような声で話した方が悲しみも伝わるのではないでしょうか」(石原さん)
まずは遺族へのねぎらいを。
「大事なかたが亡くなったショックと葬儀の準備などで慌ただしい中、知らせてくれるわけですから、“御愁傷様です”や“お悔やみ申し上げます”の前に、“大変なところをわざわざお知らせいただき、ありがとうございます”と添えましょう。
訃報を伝えなくてはいけない人がほかにもいるわけですから、できるだけ手短に。ただし、“ご葬儀には必ず伺わせていただきます”の一言は忘れずに」(石原さん)
※女性セブン2017年3月9日号