ふかふかの履き心地でデザインもかわいい“布ぞうり”が、海外で人気を得ている。それが、今回紹介するルームシューズ『MERI ルームシューズ Ellen』(7560円)だ。
誕生のきっかけは、2009年、製作している「オレンジトーキョー」(東京都墨田区)社長の小高集さんにかかってきた1本の電話だった。
「当時、私が勤務していたメリヤス工場に、青森県八戸市の工房から、“布ぞうりの材料になる端切れを譲ってほしい”と電話がかかってきたのです。それで、早速お送りしたところ、お礼に一足いただいて、実際に履いてみたら、あまりの履き心地のよさに感動。今度は私からオリジナルの製作を依頼したのです」(小高さん、以下「」内同)
通常の布ぞうりは、編む前に生地をひもにする手間がかかるため、大幅に費用が高くなる。だが、すでに工場には糸も機械もある…。
「それで、生地をひもにするのではなく、ひも自体を編めばいいと閃ひらめいたんです。素材のニットひもを開発すれば、完全にオリジナルの商品が作れますから。でも、そこからが長かった」
ひもを編んでは八戸に送り、布ぞうりに仕上げて送り返してもらう。編み上げるのはすべて手作業だ。「1足編むのに3時間かかるため、量産は難しく、スタート時は、月産50足作るのが精一杯でした。その後、5年ほどかけて地道に職人を養成し、現在では、月に約1000足まで作れるようになりました」(小高さん)。
商品を履いてみて、柔らかいか硬いか、幅が広いか狭いかなど、細かくチェックし、試作を繰り返すこと約1年。完成したひもを、吸水速乾や抗菌防臭作用のある『東レ』の糸で編み上げることで、機能性も耐久性も高いぞうりに仕上がった。
2012年に『MERIのルームシューズ』として販売を開始。今では、累計3万足を超えるヒット商品に成長した。
履き心地や機能性はもちろん、“北欧”がコンセプトだというデザインも愛らしい。年に2回、春夏と秋冬に発表される新柄にも注目だ。直営店では、布ぞうりのワークショップも開催している。
※女性セブン2017年3月23日号