いかにもフランスらしい大恋愛とともに語られるエマニュエル・マクロン新仏大統領(39才)。就任式には、世界中の女性たちの視線を釘付けにしている25才年上妻のブリジット夫人(64才)と手をつないで現れた。
涼しげなルイ・ヴィトンの水色スーツに、膝上丈のスカート。スラリとのびた足元は、10cm以上もの高さがあるベージュのピンヒールを合わせていた。
この姿に浮き足立った女性は少なくない。神奈川在住の会社員女性(52才)はため息をついた。
「ヒールと一体化した脚のラインが本当にきれいで、びっくり。あんなに細いヒールで、颯爽と歩くなんて、もう私にはできないだろうなぁ…。私は安定感ある太めのヒールでせいぜい5cmが限界。でも1時間も立っていられないなぁ…」
できることならばいつまでも、きれいにカッコよくハイヒールを履きたい…それは多くの女性の願い。欧米では、ブリジット夫人にかぎらず、60代を過ぎてもハイヒールで颯爽と歩く女性たちが少なくない。しかし日本ではちょっと違う…。
『大丸東京店』の婦人靴バチェラーシューフィッターの谷内由美子さんはこう話す。
「40、50代の女性は、バブル期にハイヒールをしっかり履いていたかたが多く、サイズにあった靴選びができていない若い世代よりきれいに履いていらっしゃいます。でもさらに上の世代からは、足の病気で靴選びをご相談されることが多いですね。ヒールを履きたいというニーズは高いですが、足の痛みが我慢できないといって、無難なヒールのない靴が選ばれる傾向にあります」
いくら若く見えるシニアが増えたからとはいえ、体は確実に老化している。体の体幹が崩れ、転びやすくなるのも事実だ。55才頃からヒールのある靴を履かなくなった大下由香里さん(仮名、58才)は「そういう体力的な話だけではないですよ」とボヤク。
「若い時には意識したことなかったんですけど、ハイヒールって、若い人の専売特許みたいなものなんですよね。だってがんばんなきゃ履けないじゃない? 別に年齢制限があるわけじゃないのに、自分で線引きしちゃうっていうか…『こんな年でハイヒールなんて』みたいな目で見られるのも恥ずかしいし、『無理してる』って思われるのもなんか嫌じゃないですか」