明治は5月25日、スナック菓子「カール」(128円)を、8月生産分をもって東日本で販売終了とすることを発表した。9月以降、「チーズあじ」と「うすあじ」が西日本のみで販売されることとなる。
カールの販売開始は1968年。開発担当の社員がアメリカを視察した際、当地で流行していたスナック菓子からヒントを得た。当時の日本は煎餅やあられなど、米を原料にしたお菓子ばかりで、ポテトやトウモロコシを原料にしたスナック菓子は普及しておらず、カールは画期的な新商品だった。
人気を不動のものにしたのは「カールおじさん」だ。麦わら帽子で首にタオルを巻き、口の回りはヒゲだらけというキャラクターは実は当初、脇役としてCMに登場した。だが視聴者から「あのおもしろいおじさんは誰?」との問い合わせが殺到して、メインキャラに昇格した。
およそ40年にわたって愛されてきたカールは1990年代に年間190億円を売り上げたが2016年には3分の1の60億円まで急降下。しかしある調査ではスーパーでの売り上げは800商品中18位というデータもあり、2016年に放送された1万人の国民投票で日本人に最も愛される“No.1のお菓子”を決定するテレビ番組『日本国民がガチで投票!お菓子総選挙2016』(テレビ朝日系)では1700商品中13位にカールチーズあじがランクインしていた。
なのに、どうして…という思いが尽きない。製造元の明治の広報部に聞いてみた。
「市況環境や顧客ニーズの低下で全面的な中止まで検討しましたが、長い間支援をいただいた商品なので西日本では販売継続となりました。みなさまの惜しむ声は大変ありがたいですが、現時点で東日本での販売再開は考えていません」(明治広報部)
コンビニ研究家の田矢信二さんは明治の真意をこう読み解く。
「普通の製菓企業なら年間60億円の売り上げがあれば販売中止にはしません。だけど明治はカールを縮小しても、主力商品のチョコや伸びているグミの商品開発に集中することに決めたのでしょう」
やはり数字で判断されてしまうのは仕方ないことなのか…。ただしこんなうれしい話も。経営コンサルタントの坂口孝則さんは今回の決断を支持する。
「東日本に比べて西日本は人口あたりのカールの購買金額が相当高い。四国の工場を残して販売するのは企業として妥当な判断ですよ」
※女性セブン2017年6月29日・7月6日号