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コミー元長官の堂々たる公聴会は「さすがFBI」の一言

ワシントンにあるFBI本部

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になった著名人をピックアップ。記者会見などでの表情や仕草から、その人物の深層心理を推察する「今週の顔」。今回は、FBI前長官のコミー氏の公聴会について。

 * * *
 先週、米議会公聴会でコミー前連邦捜査局(FBI)長官がロシア疑惑について証言した。公聴会を生中継した放送局は10局、日中とはいえ全米での視聴者は約1650万人という。

 退任したばかりのFBI長官が証言する姿など、滅多に見られるものではない。日本で言えば、さしずめ警視庁長官や警察庁長官が証言するようなものだ。メディアの評価は期待通りだったというが、そもそもコミー氏は証言することをどう思っていたのだろう。

 公聴会に現れたコミー氏は、ダークな黒いスーツにえんじ色のネクタイを締めていた。見るからに重厚感があって落ち着いた印象。これは、黒は心理的な強さや重さを感じさせる色であり、えんじ色は大人らしさ、成熟をイメージさせるとともにクールさや理知的、大胆さを感じさせる色の効果でもある。

 同じ赤系のネクタイでも、トランプ大統領や日本の失言大臣たちが好んで締める鮮やかな赤のネクタイとは印象がまるで違って見える。

 席に着くやカメラのフラッシュが無数にたかれた。だがコミー氏はまるで動じる様子がない。表情ひとつ変えず、あごを上げ正面だけを見据えていた。宣誓を終えると、静かに座って椅子を何度か引き、袖口を直し、証言しやすい態勢を整えた。深く椅子に座り、背筋を伸ばす。堂々としたものだ。

 質問する議員が変わる度に、その方向にまっすぐ身体を向け、背筋を伸ばして座る。時には椅子をずらし、机上のマイクの位置まで直す。落ち着いていなければ、ここまで気を使うことはできない。そしてこの動きは、きちんと耳を傾け、向き合って質問に答えますよという相手へのメッセージでもある。

 コミー氏の仕草でよく見られたのは、机や膝の上で組まれた手の動きだ。親指を上げて手を組んだり、親指をこすり合わせたりしていた。組んだ手の親指を立てるのは、自分の考えや説明に自信があるからだといわれる。自分の感覚や主張には自信を持っていたが、少なからず公聴会の場で発言することにストレスを感じていたのだろう。親指をこすり合わせていたのは、そのストレスから心を静めよう、なだめようとしたからだ。

 感情に合わせて動いたのは眉。「突然、解任された」と話した時は、額や眉間にシワが寄って、八の字のように眉が下がり、いまにも泣きだしそうな表情になった。「いつ解任されても仕方がない立場」と言いつつも、仕事に信念を持ち、残り6年の任期を全うする気でいたコミー氏には、我慢ならなかったであろう。

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