日本の歴史上、時の権力者たちは特権的な「養生」を行っていた。時代を彩った偉人の特権的な“裏ワザ健康法”を紹介しよう。
食にこだわった偉人といえば、豊臣秀吉(享年61)だ。なかなか世継ぎに恵まれなかった秀吉は自分の体力維持・増強や精力強化のために食餌療法に熱心に取り組み、あえて珍しい鳥獣の肉にも興味を示した。
例えば、朝鮮出兵の頃には島津義弘や吉川広家らの武将に塩漬けの虎肉を送るように命じている。敵に加えて虎も退治しなければならなくなった家臣はたまったものではないが、翌年、義弘らは実際に2頭分の虎肉を塩漬けにして送ったという
。
当時の栄養学説によると、虎肉は悪心・嘔吐を治し、気力を増す作用などがあるとされていた(宮本義己著『戦国武将の養生法』)。晩年に差し掛かり、体力の衰えが顕著だった秀吉には必要だったのだろう。
このほかにも秀吉は、九州の大名に対して鶴や白鳥の献上を命じている。これらも虎肉と同様、気力を増す効能があるとされていたものだ。鶴や白鳥、虎肉の味とは如何に。
※SAPIO2017年8月号