暦はそろそろ師走。押入れからコートやダウンジャケットを引っ張り出そうとして、クリーニング店に預けっぱなしだということに気づいた人もいるだろう。そういった客ばかりではクリーニング店は大変だが、こうした衣類は、いつまで保管してもらえるものなのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。
【相談】
クリーニング店を経営しています。悩んでいるのは引き取りにこない洗濯物の多さ。引っ越しなどで忘れてしまっているのでしょう。問題なのは、お預かりしている衣類などをいつまで保管すればよいのかということ。この場合、どれくらいの期間、保管すればお客様からのクレームを受けずに済みますか。
【回答】
クリーニングは衣服の洗濯の請負ですが、商人が営業の範囲で物を預かると、その保管料をもらわなくても、注意義務をもって保管する義務を負い、特約がない限りは民法の寄託に関する規定の適用を受けます。
民法では、預かり品の返還の時期を決めなかったら、いつでもその返還をすることができるとされていますので、取りに来てください、と通知をすれば寄託契約が終了、顧客には引き取り義務が発生します。
そして、引き取りに来なければ裁判所に申し立てて、洗濯物を競売することができます。その代金からクリーニング代の回収も可能です。顧客が転居して連絡が取れなくても、公示送達という手段でこうした手続きを経て、預かり洗濯物を法的に処理できます。