国内

京大と大阪大の出題ミスを見抜いた予備校講師、その人物像

京大に転入するか頭を悩ませる学生もいる

「京大の出題ミスに気づいたのは1年以上経ってからでした。今さら指摘しても、学生たちの人生を大きく変えるし、騒動にもなるので、大学への連絡を躊躇しました。でも、見て見ぬフリはできなくて…」

 そう葛藤を語るのは、予備校講師の吉田弘幸先生(54才)だ。

 年明け早々、受験生の間に衝撃が走った。昨年の大阪大学、京都大学の物理の入試問題にミスがあり、本来は合格だった受験生が不合格になっていたことが発覚したからだ。阪大では追加合格者30人、京大は17人の追加合格を認め、慰謝料など金銭的な補償も行われる。

 2校の入試出題ミスを見破ったのは、いずれも吉田先生だった。万が一にもミスがあってはならない入試問題で、しかも超名門国立大2校のミスを見つけたのが同じ人物だったので、受験業界で吉田先生は一躍、「スーパー予備校講師」だと注目を浴びている。

「ミスに気づいたのはたまたまです。夏期講習の教材で使うために阪大の問題を解いていたら“あれっ?”となった。その後、友人から“京大の問題も怪しい”と言われてチェックすると、たしかに答えが導けない問題でした。毎年、両校の問題を解いているわけじゃなくて、今回はほんとに偶然でした。今受け持っている生徒から、“先生、ニュースに出てたね”と冷やかされるぐらいです(笑い)」(以下、「」内は吉田先生)

 そう謙遜はするが、京大、阪大の教授が万全を期して作った問題のミスを突いたのだから、恐れ入る。中学2年生と小学2年生の息子の父親でもある吉田先生は、根っからの理系男子だ。

「中学生の頃から“物理にかかわる仕事で生きて行く”と決めていましたね。高校までは地元の神奈川県の公立でのんびりと勉強し、早稲田大学の物理学科に入って、大学院まで進学しました」

 大学生の頃にアルバイトで小さな塾の講師になり、院生になった頃から大手の進学塾でも教鞭を執るようになった。有名予備校の「駿台」や「河合塾」、東大・京大などの難関校を狙う中高生が通う有名学習塾「SEG」でも数学や物理を教えてきた。

「もともと研究職に興味があったんですが、学生に教えるのもとてもやりがいがあったので、予備校の講師に専念することにしたんです」

 吉田先生は現在、中高生を対象とした国際コンテスト「国際科学オリンピック」の物理部門の委員も務める。日本代表の選手の選考や指導を行い、3年ほど前のカザフスタン大会には同行したという。吉田先生は、昨年の入試でミスが多発した原因をこう指摘する。

関連キーワード

関連記事

トピックス

無罪判決に涙を流した須藤早貴被告
《紀州のドン・ファン元妻に涙の無罪判決》「真摯に裁判を受けている感じがした」“米津玄師似”の男性裁判員が語った須藤早貴被告の印象 過去公判では被告を「質問攻め」
NEWSポストセブン
激痩せが心配されている高橋真麻(ブログより)
《元フジアナ・高橋真麻》「骨と皮だけ…」相次ぐ“激やせ報道”に所属事務所社長が回答「スーパー元気です」
NEWSポストセブン
Instagramにはツーショットが投稿されていた
《女優・中山美穂さんが芸人の浜田雅功にアドバイス求めた理由》ドラマ『もしも願いが叶うなら』プロデューサーが見た「台本3ページ長セリフ」の緊迫
NEWSポストセブン
トンボをはじめとした生物分野への興味関心が強いそうだ(2023年9月、東京・港区。撮影/JMPA)
《倍率3倍を勝ち抜いた》悠仁さま「合格」の背景に“筑波チーム” 推薦書類を作成した校長も筑波大出身、筑附高に大学教員が続々
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
【入浴中の不慮の事故、沈黙守るワイルド恋人】中山美穂さん、最後の交際相手は「9歳年下」「大好きな音楽活動でわかりあえる」一緒に立つはずだったビルボード
NEWSポストセブン
結婚披露宴での板野友美とヤクルト高橋奎二選手
板野友美&ヤクルト高橋奎二夫妻の結婚披露宴 村上宗隆選手や松本まりかなど豪華メンバーが大勢出席するも、AKB48“神7”は前田敦子のみ出席で再集結ならず
女性セブン
スポーツアナ時代の激闘の日々を振り返る(左から中井美穂アナ、関谷亜矢子アナ、安藤幸代アナ)
《中井美穂アナ×関谷亜矢子アナ×安藤幸代アナ》女性スポーツアナが振り返る“男性社会”での日々「素人っぽさがウケる時代」「カメラマンが私の頭を三脚代わりに…」
週刊ポスト
NBAロサンゼルス・レイカーズの試合を観戦した大谷翔平と真美子さん(NBA Japan公式Xより)
《大谷翔平がバスケ観戦デート》「話しやすい人だ…」真美子さん兄からも好印象 “LINEグループ”を活用して深まる交流
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
「服装がオードリー・ヘプバーンのパクリだ」尹錫悦大統領の美人妻・金建希氏の存在が政権のアキレス腱に 「韓国を整形の国だと広報するのか」との批判も
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《私には帰る場所がない》ライブ前の入浴中に突然...中山美穂さん(享年54)が母子家庭で過ごした知られざる幼少期「台所の砂糖を食べて空腹をしのいだ」
NEWSポストセブン
亡くなった小倉智昭さん(時事通信フォト)
《小倉智昭さん死去》「でも結婚できてよかった」溺愛した菊川怜の離婚を見届け天国へ、“芸能界の父”失い憔悴「もっと一緒にいて欲しかった」
NEWSポストセブン