日々の生活の足となり、仕事道具となるなど、長い年月を車とともに過ごしてきた高齢ドライバーが、運転をやめたり免許返納を迫られている。そんな社会の流れに従う人、抗う人はどんな感情を抱いているのだろうか。俳優・伊東四朗(81)に聞いた。
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免許を返納したのは2年前の6月。79歳の時です。女房と自宅近くの警察署に行って2人揃って返納したんだけど、応対した警察官の愛想がビックリするほど良くてね。「これで仕事(事故)がひとつ減る」とでも思ったのか、ずっとニコニコしていた(笑い)。
歳のせいで運転が難しくなったとか、具体的な理由があったわけじゃないんです。今年もコントライブを半月以上ブッ通しでやったりしてますし、体力に問題はなかった。
返納しようと思ったきっかけは、75歳をすぎて世間から「後期高齢者」と呼ばれるようになったこと。当事者にとってはショックな呼称で、「俺はもう運転しちゃいけない年齢なんだな」と思っちゃった。
それ以上に、75歳を超えると認知症の検査(認知機能検査)を受けないと免許の更新ができないのは、面倒だなと感じていました。72歳以上になるとゴールド免許の有効期間が3年に短縮されるでしょ。私もゴールド保持者だったけど、年齢だけを理由に期間を切り詰められるって「理不尽」ですよ。
そういうことを考えているうちに、免許の切り替え時期がきて、そのタイミングで返納を決めたんです。