ゴミの分別は、市民生活を送る上で必ず守るべきルールだが、面倒に感じる気持ちは分からなくもない。ルール違反を防ぐ手段の1つが、ゴミ袋への名前記入だ。それにプライバシー面での問題はないのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。
【相談】
福岡県のある自治体のゴミ出しの対応に驚いています。ゴミを集積所に出す場合、ゴミ袋に名前を記入しなければいけないとか。自治体は「お願い」としていますが、プライバシーの問題もあり、やりすぎだと思います。分別が徹底されていないという理由も理解できますが、このやり方は法に抵触しませんか。
【回答】
家庭の生活ゴミは一般廃棄物で、市町村は区域内におけるゴミの収集や処理を行なわなければなりません。今回の件は、この義務の履行にあって、住民側に氏名開示を要求できるかという問題です。
自治体が挙げる事情は、もっともです。他方、個人の名前はゴミ袋の出し主を特定する個人情報です。行政サービスを受ける際に、住民が名前を書くのは普通ですが、この場合は名前が行政以外に知られてしまう恐れがあることが問題です。行政は取得した個人情報を厳格に保護する義務がありますが、収集前はまだ取得していないので、その義務はなく、それまでは住民の個人情報が保護にない状態です。