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東北6県で作られる「伝統こけし」地域により顔立ち、形違う

1984年5月に開館した『みやぎ蔵王こけし館』には約100体の東北こけしが勢ぞろい

 宮城県仙台市から車で約70分。宮城県と山形県の県境にある蔵王連峰の東麓に位置し、遠刈田温泉などがある蔵王町。古くから湯治場として人々を癒してきた場所で、こけし発祥の地としても知られている。同町にある『みやぎ蔵王こけし館』には、こけしや木の玩具が5500点ほど展示されている。これは世界一の数だ。

「こけしには伝統にのっとった作り方をする“伝統こけし”と、これをもとにして発展した“新型こけし”があります。東北6県では、11系統の伝統こけしが作られており、地域によって顔立ちも形もまったく違うのですよ」(みやぎ蔵王こけし館広報担当者・以下同)

 代表的なものには、頭にベレー帽をかぶったような“弥治郎系”、首がキュッキュと音を立てて回る“鳴子系”、子供の遊び人形だった頃の原形に近い細い胴の“作並系”などがある。

「宮城県のこけしは、今から約200年前に、鳴子とここ、蔵王町遠刈田で生まれたといわれていますが、県内には生産地も多く、国の伝統工芸品にも指定されています」

 東北地方には戦国時代から、ろくろを用いて椀や盆などの木工品を作る「木地師」と呼ばれる職人がいた。彼らが仕事の合間にむくの木で“木地人形”と呼ばれる人形を作り、子供に与えていたのが、こけしの原点といわれている。

「木地人形は着せ替え人形のような存在だったようです。こけしが一気に発展したのは江戸末期。湯治の習慣ができた頃で、温泉のある地域で土産物として売られており、さまざまな形が作られるようになりました」

 作り手によって、顔や胴の部分の描き方に若干の違いがあるものの、伝統的な手法で作られるこけしは、長い時を経ても色あせることはない。今では宮城県のシンボルとして、さまざまな形で継承されているが、LINEスタンプのキャラクターなどでも、人気を得ている。

※女性セブン2018年9月6日号

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