国際情報

香港の実業家拷問死で警官9人に有罪、香港政府に批判も

中国の警官による拷問、香港政府にも批判の矛先が

 香港の4つ星ホテル、キンバリーホテルなどを経営していた香港の実業家、劉希泳氏が2016年11月に中国吉林省でビジネス上のトラブルに巻き込まれて逮捕されたのち、2017年3月に警察の取り調べ中に拷問などを受けて死亡していたことが分かった。その後、取り調べをしていた警官9人が逮捕され、今年10月に天津地裁で行われた裁判では、9人の供述から劉氏への取り調べの状況が具体的に明かされた。

 裁判では、中心的に取り調べを行った警官に懲役15年の刑が下されるなど、9人全員に有罪の審判が下った。劉氏は香港の市民権を取得していたが、香港特別行政区政府は中国の警察当局に抗議のコメントを出しておらず、香港メディアによる香港政府への批判が高まっている。

 劉氏は1979年、米ハーバード大学に留学しビジネススクールで修士課程を修了。その後、香港でビジネスの世界に入り、中国国有のコングロマリット企業「光大集団」に食い込み、中国大陸で観光業や金融業で成功し、ホテル業などを興し巨万の富を手にしたといわれる。

 しかし、光大集団の総帥、朱小華会長が汚職で逮捕されると、劉氏のビジネスにも陰りが見え始める。2016年11月、出張先の吉林省延辺朝鮮族自治州で逮捕され、天津に移送されて、翌年3月から本格的な取り調べを受けていた。

 取り調べに当たっていた9人の警官は4日間、劉氏を眠らせずに、暴力による拷問などで自供を強いたという。その結果、劉氏は肋骨数本や腕や足なども骨折していたほか、水責めで呼吸ができない状況に追い込まれるなどして、最終的に心臓病で死亡した。

関連キーワード

関連記事

トピックス

嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
SNSで「卒業」と離婚報告した、「第13回ベストマザー賞2021」政治部門を受賞した国際政治学者の三浦瑠麗さん(時事通信フォト)
三浦瑠麗氏、離婚発表なのに「卒業」「友人に」を強調し「三浦姓」を選択したとわざわざ知らせた狙い
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
昨年ドラフト1位で広島に入団した常広羽也斗(時事通信)
《痛恨の青学卒業失敗》広島ドラ1・常広羽也斗「あと1単位で留年」今後シーズンは“野球専念”も単位修得は「秋以降に」
NEWSポストセブン
中日に移籍後、金髪にした中田翔(時事通信フォト)
中田翔、中日移籍で取り戻しつつある輝き 「常に紳士たれ」の巨人とは“水と油”だったか、立浪監督胴上げの条件は?
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
新たなスタートを切る大谷翔平(時事通信)
大谷翔平、好調キープで「水原事件」はすでに過去のものに? トラブルまでも“大谷のすごさ”を際立たせるための材料となりつつある現実
NEWSポストセブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
女性セブン