さばに続き、さんま、いわしも品薄になるほど大人気の魚缶。「減塩志向で味が程よくなり、冷凍・解凍技術の発達でひと昔前より格段においしくなっています」とは、缶詰博士・黒川勇人さん。保存できて、料理でも大活躍だということで、スーパーの特売品をまとめ買いしている人も多いのでは? そこで、意外と知らない“選び方ポイント”を黒川さんに教えてもらいました。
【プロフィール】
黒川勇人さん/約15年前から世界中の缶詰を紹介するブログを始めて話題に。『「レジェンド缶詰」究極の逸品36』(講談社刊)など、著書も多数。
●缶詰に旬はあるの?
魚獲量が最も多く、値段も安い時期に仕入れて製造するので、基本的にすべてが旬のもの。人気のさば缶は現在品薄ですが、秋冬が旬なので、これから出荷が増えるはずですよ。
●自分で調理した魚と缶詰の栄養価に違いはある?
缶詰は缶に魚を密閉して加熱するため、骨まで軟らかくなり、魚が丸ごと食べられます。さば水煮缶で摂れるカルシウム量は家庭で煮た場合の約37倍! また、缶詰は鮮度が良い魚を使うため血合いなどを処理しないことが多く、DHAやEPAなどの良質な脂質が残されています。
●ツナの原料はまぐろとかつおの二種類があるの?
きはだまぐろか、味がマイルドでクセがないかつおが一般的。脂がのっていて身が白いびんながまぐろが最上級で、1缶あたり約5倍も高値。缶の原材料を見て、買う時の参考に。
●缶詰もできたてがおいしい?
製造後半年以上経つと調味料がなじんでおいしくなる、というのが業界の人たちの常識。特にツナのオイル漬けは賞味期限に近づくほどおいしくなります。製造日の記載はありませんが、賞味期限はおよそ3年なので、買うときに逆算するか家庭で保管して食べ頃を見つけてみて。
●鮮度は生で買った魚の方が良い?
鮮魚は市場から小売店、家庭に届くまでに、地域によっては数日かかります。一方、缶詰は市場から仕入れてすぐに加工するので、実はとても新鮮。DHAなどの脂質は酸化しやすいですが、缶詰ならその心配もありません。
●値段とおいしさは関係あるの?
値段の差は、ずばり食材の質の差。安価なものは、市場で安い値で取り引きされる身の細い魚や、うまみの少ない部位の場合が。脂のノリなど差は歴然なので、多少奮発するのがおすすめ。
●缶詰博士のイチオシ魚缶は?
【いわし】
香ばしく焼いたいわしを、にんにくが効いたトマトソースで煮込んでいる。「いわしに脂がのっていて、味付けも程よい。パスタと合わせるのがお気に入り」。いわしのトマトパッツァ(90g)194円/極洋
【ほたて】
ほたてを丸ごと1個、魚介のうまみ豊かなトマトソースとクリームで煮込んだ一品。「缶詰の貝とは思えない、驚きのみずみずしさ」。ニューヨーク風帆立のニューバーグ(90g)594円/エム・シーシー食品
【ツナ】
ツナの王様、びんながまぐろをフレークではなく、リーフ状に。「食べごたえがあり、風味豊か。バゲットにのせて軽く炙るのがおすすめ」。オードブルツナ バター風味(80g)540円(編集部調べ)/SSKセールス
※女性セブン2019年2月7日号