国際情報

中国でクルマのボンネットに座り込む人が相次いだ背景

クレーム対応は難しい(アフロ)

 中国人の購買力の高さは世界的に有名になったが、まだまだ独特の“取引事例”には事欠かないようだ。現地の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。

 * * *
 今年4月中旬、一人の女性が西安の販売店に展示されていた高級車・メルセデスベンツのボンネットの上に座り、大声で店の対応に抗議する動画が中国で大きな話題となった。

 この女性は自分が買ったベンツが、購入直後からオイル漏れをおこしていた問題で、別の車との交換を要求しても聞き入れられなかったことに抗議したのだが、後にベンツ本社が彼女の要求に応じ、その上ドイツに招待するなどといった丁重過ぎる対応を発表し、さらに大きな話題となった。

 報道の後には、彼女を真似てボンネットに座り込む人が相次ぐというニュースもメディアを騒がせた。2匹目のドジョウを狙った行為には、さすがにネット上でも批判が広がったが、この問題の余波は5月に入ってもくすぶり続けている。

「あの事件はいま、なんと金融の問題に飛びしてしまったのです」

 と話すのは、北京のメディア関係者だ。

「ベンツ販売店の対応に問題があると騒いだ女性の件がきっかけで、彼女が支払ったときの費用の明細が公の目にさらされたのですが、そのなかで、『金融サービス費』という項目があって、たちまち『これは何だ?』となったのです」

 明細によれば、その金額は1万5000元。日本円にして約25万5000円だから、決して少ない金額ではない。ネット上ではたちまち、「中国銀行保険監督管理委員会に調査をさせろ!」という声が高まったのだ。

 この問題は結局、現在に至るまできちんとした答えは出ていないのだが、同じころに出た『中国新聞』の記事によれば、北京では36万元のローンに対して7500元(約12万7500円)の金融サービス費が計上されるという。西安のケースは高すぎたようだが、記事中で取材に応じた弁護士によれば、いわゆるローンの手数料に過ぎないこのサービス費も、消費者への事前の説明と了解、さらには明細の提示と領収書の発行があれば合法なのだという。

 もしこれが問題ということにでもなれば、再び高級車販売店の前では、抗議の消費者であふれかえることだろう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
今回のドラマは篠原涼子にとっても正念場だという(時事通信フォト)
【代表作が10年近く出ていない】篠原涼子、新ドラマ『イップス』の現場は和気藹々でも心中は…評価次第では今後のオファーに影響も
週刊ポスト
真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
韓国2泊3日プチ整形&エステ旅をレポート
【韓国2泊3日プチ整形&エステ旅】54才主婦が体験「たるみ、しわ、ほうれい線」肌トラブルは解消されたのか
女性セブン