前述の武蔵小杉~西大井では、相鉄線の直通運転開始による輸送力増強が予想される(相鉄・JR直通線、相鉄・東急直通線ホームページ「完成後の効果(見通し)」)。これに加え、武蔵小杉駅では、横須賀線ホーム増設工事も実施予定である。
さらに、横須賀・総武快速線沿線である東京都・神奈川県・千葉県の人口は、いずれも2020年代には減少に転ずると予測されている(各都県のホームページ参照)。以上の点を踏まえると、通勤ラッシュ時の混雑は、長期的には改善することが期待される。
JR東日本によると、E235系が使用される区間は、「横須賀線(東京~久里浜)、総武快速線(東京~千葉)/外房線(千葉~上総一ノ宮)、内房線(蘇我~君津)、総武本線(千葉~成東)/成田線(佐倉~香取、成田~成田空港)、鹿島線(香取~鹿島神宮)」である。上記区間で現在使用されているE217系の多くは、上記路線を直通運転している。従って、E235系も、E217系と同様にこれらの路線を直通運転すると推測される。複数の路線を直通運転するということは、より長時間の着席需要が見込めることも意味する。
現在、同路線で使用されているE217系では、一部の普通座席にクロスシートが採用されている。ということは、E235系普通座席へのクロスシート設置は、十分に現実的な選択肢である。また、休日には、三浦半島・房総方面への家族連れの観光需要も見込まれる。家族連れであれば、ロングシートよりも、向かい合わせのクロスシートの方が、使い勝手も良いだろう。
E235系のグリーン車はボックス席だが、より安価に列車の旅を楽しみたい学生には使いづらい。E235系普通座席においても、ロングシートに限らず、クロスシート採用が検討されるべきではないだろうか。
●取材・文/長田紘一郎(早稲田大学鉄道研究会)