ライフ

最近乱用気味の「責任を痛感」 真価を発揮できる使い方は

安倍晋三首相に辞表提出後、記者団の質問に答える河井克行法相(時事通信フォト)

 心の奥底でどう感じているかはともかく、ものの言い方で印象がガラリと変わるのは事実。大人力について日々研究を重ねるコラムニストの石原壮一郎氏が指摘する。

 * * *
 2019年も残すところあと2ヵ月。このタイミングで「新語・流行語大賞」の有力な候補が躍り出てきました。しかし、今年のノミネートの発表は11月6日なので、きっともう間に合わないでしょう。流行の発信源の方は、残念に思っているかもしれません。

 その言葉とは「責任を痛感」です。「(たとえば大臣に任命した)責任を痛感している」「(たとえば拉致問題を解決できていないことの)責任の重さを痛感している」「(たとえば不正な調査を見抜けなかったことの)責任を痛感している」といった使い方をします。

「責任」という言葉を辞書で引くと、「自分が引き受けて行わなければならない任務。義務。」「自分がかかわった事柄や行為から生じた結果に対して負う義務や償い。」とあります(三省堂「大辞林」より)。また「痛感」は、「心につよく感ずること。身にしみて感ずること。」とあります(同)。

 なるほど、いろんな任務や義務はあっても、とりあえず心につよく身にしみて感じれば「責任を痛感」したことになるんですね。パッと聞くと、重大な決意を示しているように聞こえますが、何をどうするか明らかにする必要はまったくありません。なんて便利な言葉でしょう。そりゃ、いちおう体裁を整えたいときには、つい使いたくなります。

 こんな便利な言葉を一部のエライ人だけに使わせておく手はありません。私たちシモジモも、大いに活用してその恩恵にあずかりましょう。すぐにでも使えそうのは、仕事のミスを上司に報告する場面です。

「長年のお得意先の社長を怒らせて、取り引きを切られてしまいました。責任を痛感しております」
「また納期を守れませんでした。責任を痛感しております」

 そんな調子でしょうか。ただし、エライ人はそう言っておけば済みますが、シモジモが使うと、上司から「責任を痛感はいいけど、それでどうするつもりなんだ!」という当然の突っ込みが入ります。「ですから、責任を痛感して……」と繰り返せば繰り返すほど、擁するに具体的な対処は何もする気はないことが強調されてしまうでしょう。

 家庭内で妻から給料の安さに不満を言われたり、子どもの成績が伸びないことを嘆かれたりしたときにも、「責任を痛感しています」と返すのがオススメ。こうした「そういわれてもどうしようもない事柄」を責められたときは、とりあえず神妙な顔をしておくことが大切です。やがて「こいつに言っても無駄だ」と思われますが、その通りなので仕方ありません。ただ、エライ人が同じように思われてしまうのはどうなんでしょうか。

関連記事

トピックス

中村芝翫と三田寛子
三田寛子、夫・中村芝翫と愛人の“半同棲先”に怒鳴り込んだ「絶妙タイミング」 子供たちも大事な時期だった
週刊ポスト
杏
【全文公開】杏、帰国時に極秘入院 ワンオペで子育てしながらの仕事、元夫・東出昌大 の言動でストレスも 体が悲鳴で短期の検査入院か
女性セブン
【全文公開】中村七之助、梨園きってのモテ男が“実家お泊り愛”の真剣交際 お相手は京都の芸妓、直撃に「ありがとうございます」
【全文公開】中村七之助、梨園きってのモテ男が“実家お泊り愛”の真剣交際 お相手は京都の芸妓、直撃に「ありがとうございます」
女性セブン
全国ライブ中の沢田研二
《ファンの声援にブチ切れ》沢田研二が「見てわからんか!」とステージ上で激怒し突っ込んだ「NGワード」
NEWSポストセブン
対策は万全なのか(万博協会が公開した爆発事故現場の様子)
大阪万博メイン会場「夢洲2区」の安全性への懸念 万博協会のメタンガス発生に関する説明には大きな矛盾、次なる爆発事故のリスクも
週刊ポスト
一部メディアが盛んに報じている「佳子さまの結婚のお相手候補」(写真/宮内庁提供)
【本命は島津家の御曹司か?】過熱する佳子さま「結婚相手報道」 眞子さんと小室圭さんの騒動で「佳子さまのお相手のハードルが上がった」
週刊ポスト
日本中を震撼させた事件の初公判が行われた
【悲劇の発端】瑠奈被告(30)は「女だと思ってたらおじさんだった」と怒り…母は被害者と会わないよう「組長の娘」という架空シナリオ作成 ススキノ事件初公判
NEWSポストセブン
長所は「どこでも寝られるところ」だと分析された(4月、東京・八王子市。時事通信フォト)
愛子さま、歓迎会の翌日の朝に遅刻し「起きられませんでした」と謝罪 “時間管理”は雅子さまと共通の課題
NEWSポストセブン
中村芝翫と三田寛子
《愛人との半同棲先で修羅場》それでも三田寛子が中村芝翫から離れない理由「夫婦をつなぎとめる一通の手紙」
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告
【父親とSMプレイの練習していた】瑠奈被告(30)の「女王様になりたい」に従った従順な両親の罪
NEWSポストセブン
佳子さま
【不適切なクレームが増加?】佳子さまがギリシャ訪問中に着用のプチプライス“ロイヤルブルーのニット”が完売 それでもブランドが喜べない理由
女性セブン
中村芝翫と三田寛子(インスタグラムより)
《三田寛子が中村芝翫の愛人との“半同棲先”に突入》「もっとしっかりしなさいよ!」修羅場に響いた妻の怒声、4度目不倫に“仏の顔も3度まで”
NEWSポストセブン