「えらい」は、三重県では「疲れた」「たいへんだ」といった意味ですが、標準語では「偉い」という意味になってしまうおかげで、それこそえらい目に遭いました。友達が「今日は遠くまでバイトに行った」といった話をしたときに、たいへんだったねとねぎらうつもりで「それはえらかったね」と返したら、なぜか相手はムッとしています。

 似たようなことが何度かあったものの、自分ではなぜムッとされるのかわかりません。ある日、ひとりの友達に「おい、なんでお前が偉そうに『えらかった』って言うんだよ」と言われて、自分がやらかしていたことの恥ずかしさに気が付き、血の気が引きました。そういう不遜なことを言うヤツだと思われていたなんて……。あわてて「そ、そうじゃなくて『えらい』というのは」と全力で否定しました。

 ことほど左様に、言葉の意味というのは誤解されがち。たいていの場合は笑い話で済みますが、誤解が原因で人間関係が壊れることもあるでしょう。

「てっきり標準語だと思い込んでいた方言」は、私たちに大切なことを教えてくれます。こっちにとっては腹が立つ発言でも、相手はそんなつもりで言っていない可能性がある。自分としてはよかれと思って言ったことも、相手が違う意味で受け取ることもある。自分の「当たり前」と相手の「当たり前」は違う……。それこそ大人として「当たり前」の前提ですが、つい忘れがち。「あっ、この言葉は方言だったんだ」と気付くたびに、あらためて認識しましょう。

 昨今、SNSが広まったせいかヒマな人が多いのか、誰かの失言とか刺激的なポスターとか、いろんなものに噛み付きたい人がますます増えています。「相手はそんなつもりじゃないかもしれない」と思えば、無駄な怒りを抱く必要もありません。仕事上のちょっとした食い違いもしかり。ほとんどのことは、そうやって適当にスルーすればいい話です。お国言葉は、ものすごく遠まわしに、とかく怒りっぽくなっている私たちを諭してくれているのかも。ああ、ふるさとは、やっぱりありがたいですね。

関連記事

トピックス

岸信夫元防衛相の長男・信千世氏(写真/共同通信社)
《世襲候補の“裏金相続”問題》岸信夫元防衛相の長男・信千世氏、二階俊博元幹事長の後継者 次期総選挙にも大きな影響
週刊ポスト
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
女優業のほか、YouTuberとしての活動にも精を出す川口春奈
女優業快調の川口春奈はYouTubeも大人気 「一人ラーメン」に続いて「サウナ動画」もヒット
週刊ポスト
真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
女性セブン
今回のドラマは篠原涼子にとっても正念場だという(時事通信フォト)
【代表作が10年近く出ていない】篠原涼子、新ドラマ『イップス』の現場は和気藹々でも心中は…評価次第では今後のオファーに影響も
週刊ポスト
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
韓国2泊3日プチ整形&エステ旅をレポート
【韓国2泊3日プチ整形&エステ旅】54才主婦が体験「たるみ、しわ、ほうれい線」肌トラブルは解消されたのか
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン