このところ関東の市街地でアーバン・イノシシ(都市部に出没するイノシシのこと)の目撃情報が相次いでいる。
12月2日頃に東京・足立区の荒川河川敷を移動しているところを発見され、4日には埼玉県の荒川上流域にあたる富士見市の住宅街にも現われ、警察や消防などによって捕獲された。しかし、足立区で目撃されたイノシシと体格が違うとの情報もあり、山から下りてきたイノシシが複数いる可能性が示唆された。
その後、15日午後にも東京・国立市のJR国立駅前にイノシシが現われ、駅前を猛スピードで走り去ったという。約1時間後には立川市でも目撃されたが捕獲には至らなかった。
地方の里山などであれば、畑の作物を荒らされるなどのイノシシ被害は多く、人里に出没するのも珍しくはないのかもしれない。だが、都市部に住む人は、街中でばったりイノシシに出会ってしまったら、どう対処していいかわからない人が多いはずである。
福岡県福岡市では、イノシシが市街地に出没し、人へ危害を加える被害が相次いだため、今年4月からイノシシ被害の対策に特化した特命担当課長、通称“イノシシ対策課長”を新設したという。市街地でのイノシシ対策については、東京などより進んでいるに違いない。
そこで、“イノシシ対策課長”こと福岡市農林水産局の水崎亮二課長に、街中でイノシシに出会ったときの対処法を訊いた。
「イノシシは基本的に臆病でおとなしい性格で、通常は人間の気配を感じると立ち去っていきます。しかし、驚いて大声を出したり、モノを投げつけたりして興奮させると、突進してくることがあります。
イノシシは足が速く、数秒で時速20キロに達し、最高時速40キロで走るといわれていて、ジャンプ力もあり、1メートル以上の高さでも超えてきます。イノシシに追いかけられたら、人は逃げられません」(水崎課長)
体重100キロを超える個体もいるので、そのスピードで衝突されたらただではすまない。