さらに、イノシシは噛む力も強く、捕獲しようとした人が指を噛みちぎられたケースが実際にあったという。また、雄・雌ともに横方向に伸びる牙があり、突進してきて衝突されて、太ももに牙が刺さって大怪我をしたというケースもある。
「ばったり出会った場合は、刺激を与えて興奮させたりしないようにするのが基本です。背中を見せると追いかけてくるので、目をそらさないようにして後ずさりしながら、ゆっくり離れるようにします。
その場から立ち去れないときは、建物や車の中、塀の影などで身を隠してイノシシが立ち去るのを待ちましょう。ガードレールは下に隙間があるのでダメですね。数十センチの隙間でもイノシシは入ってきます」(水崎課長)
イノシシは木に登れないので、自分の方に向かってきて隠れる場所がないという最悪の事態では、木や電柱に登ったり、なるべく高い塀や柵の上に登るというのもありだ。マンガみたいだが、真面目な話である。ただし、落ちて怪我をしないように気をつけたい。
そしていざというときは、イノシシ対策課長の言葉を思い出していただきたい。
●取材・文/清水典之(フリーライター)