さらに、カメラに近すぎてスマホの自撮りと同じで、顔の中心、鼻が大きく映っている出演者もいる。本人は気がついていないのだろうが、表情がうまく伝わらないし顔も違って見えてくる。ある研究ではスマホの自撮りだと、鼻が30%も大きく映ってしまうという報告もあるほどだ。オンライン会議やオンライン飲み会でも、同様のことが起こりやすい。カメラに近づきすぎると、顔が普段と違って見えてしまう。

 また、リモートだと細かな表情をリアルに捉えることは難しいが、それでも視線の動きは読み取れる。相手に向いていることを示すために、話すときはなるべくカメラ目線にすることだ。カメラからどれくらいの距離感が自然に映るのか、相手とお互いに試してみるといいだろう。

 カメラの位置と照明の関係もある。例えば、上から覗き込んでいるような映像になっている出演者がいる。これはいつもの習慣のままパソコンに向かっているからだ。そのため自然と顔が下を向いてしまう。加えて部屋の明かりだけに頼ると映像が全体的に暗く、上からの光が弱いため顔色が悪く見える。これを自然に見せるためには、パソコンやスマホを置く位置をいつもより高めに設定するのも一つだ。実際スタジオのテレビカメラは、出演者の顔より高い位置から撮影されている。

 背景にも気をつけたい。リモート出演では本棚を背景にしている人も多いが、視覚情報が多くなって映像としての見やすさは薄れてくる。まして日本人は欧米人に比べて、その人物のみに注目するより背景からくる情報に注意を向けやすい傾向があるという研究結果がある。自宅の部屋のディテールがそのまま背景に映し出されると、想像している以上にいらない情報が相手に伝わる可能性があるということを覚えておきたい。

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