ライフ

吉田類が語る漫画『トラとミケ』、「酒場は密だから良かった」

酒場が描かれる題22話「寒風の候」

『女性セブン』に連載されている漫画『トラとミケ』(ねこまき・作)の単行本第2巻がこのたび発売された。名古屋にあるどて屋『トラとミケ』を舞台に描かれるほっこりストーリーは、発売前から「楽しみすぎる」「昭和のあの感じが大好き」「心癒される」「カラーで読めるのがうれしい」など大きな反響を呼んでいる。そこで、『トラとミケ』ファンの酒場詩人・吉田類さんに、その魅力を聞いた。

 * * *
 古い一軒家の暖簾が掛かった引き戸をガラガラーっと開けると、コの字のカウンターがあって、常連さんたちが丸椅子に座ってワイワイガヤガヤ賑やかに飲んでいる。『トラとミケ』で描かれている世界観は、いつもぼくが行っている昭和酒場そのもので、そのシチュエーションがまず、すごく気に入りました。それと、料理もちゃんと季節感が出ていますよね。そうそう、ブリ大根があるのってこういうお店だな、とか、栗ご飯や味噌串カツなんかもリアリティーがありますよね。

 舞台は名古屋ですが、東京の下町にもこうした大衆酒場は残っています。トラとミケのような、どこかお母さんのような存在だったり、親戚のおばあちゃんのような懐の深い女将さんがいて、どんなお客さんが来ても、「あんた、ダメ」ということはなくて、普通に受け入れてくれる。

 だから、つい相談や愚痴を言いたくなっちゃうし、みんなが弱さや優しさを持ち寄ってくるから、そこにドラマが起きる。この作品はしかも、ぼくの大好きな猫のキャラクターで描かれているから、余計にぬくもりが伝わってきましたし、非常に心が和みました。

『トラとミケ』の常連でお隣のシンちゃんの話だって、「お袋がこんなに早く死んだのはオヤジのせいだろ!」と言って息子が出て行って、13年間も断絶したままという、実はかなりシリアスな話じゃないですか。それでも最後、家族愛のあふれる酒場が間に入って、親と子の確執がハッピーエンドになる。そういうことって、物語のなかだけではなくて、現実にも実際、そんなふうに機能しているお店があるんですよ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
【無理にやらなくていい&やってはいけない家事・洗濯衣類編】ボタンつけ・すそあげはプロの方がコスパ良、洗濯物はすべてをたたむ必要なし
【無理にやらなくていい&やってはいけない家事・洗濯衣類編】ボタンつけ・すそあげはプロの方がコスパ良、洗濯物はすべてをたたむ必要なし
マネーポストWEB
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
大谷翔平の伝記絵本から水谷一平氏が消えた(写真/Aflo)
《大谷翔平の伝記絵本》水原一平容疑者の姿が消失、出版社は「協議のうえ修正」 大谷はトラブル再発防止のため“側近再編”を検討中
女性セブン
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
運送会社社長の大川さんを殺害した内田洋輔被告
【埼玉・会社社長メッタ刺し事件】「骨折していたのに何度も…」被害者の親友が語った29歳容疑者の事件後の“不可解な動き”
NEWSポストセブン