国際情報

【アメリカ発】マスクがウイルスを広める危険を知ってほしい

トランプ氏も支持者たちも、マスクを着けないことが多い(EPA=時事)

 アメリカでは、トランプ大統領やその支持者が「マスクの義務化は不要」という姿勢を見せていることから、マスクの是非が政治論争になってしまっている。自身も医療従事者として多くの経験を積み、医療問題に取り組むライターJ.H. Capron氏は、そうした論争からは距離をおきながら、専門的な観点から、人々が気づかない危険について警告を鳴らす。

 * * *
「媒介物」という言葉をよく知らない人のために説明すると、これは病原体に汚染された生物ではない物体を指し、病原体の拡散源となるもののことだ。私から見ると、コロナウイルスのパニックのなかで、ほとんどの人がウイルスやその性質、どのように増殖するかを理解していないことは明らかだ。未知のものへの恐れは知識不足の結果である。そして、無知は人々に病原体を拡散させる不合理な行動をとらせる。

 今は21世紀だが、一般の人々が17世紀よりはるかに賢くなったというわけではない。例として20世紀初頭のパンデミックを振り返ってみよう。

 1918年に、スペイン風邪(新型インフルエンザ)が世界的に大流行した。まだ医学界はウイルスを発見する初期段階にあり、理論的にはその存在がわかっていたものの、実際にそれを見ることができるようになるのは、1930年代後半に電子顕微鏡が発明されてからである。ウイルスは細菌よりはるかに小さいものだとわかってはいたが、その正体はまだつかめていなかったのである。そして、専門家や公的機関は人々に何を求めたか。ガーゼを5~6枚重ねた布のマスクを着用するように訴えたのである。しかし、当時はマスクの衛生状態について正しい知識がなく、結果的に汚染されたマスクがウイルスの拡散を助長したのではないかと疑われている。

 かつて私はアメリカ陸軍の外科技術者だった。私は、マスクの衛生と無菌状態に関わる訓練を受けた。1966年、韓国の臨時病院で感染症の集中治療を経験し、その後、大学で微生物学を含む生物学を専攻した。そうした経験と知識から、私は多くの人とは異なった見方をする。コロナ禍で食料品を買いに行った時、私はショックを受けた。マスクとニトリル手袋をつけた人たちが、平気でマスクの表面を触り、その手で目をこすっていた。彼らはスマートフォンを操作し、店内のあらゆるものに触れた。その店は、専門的な観点からすると、感染の危険に満ちていた。

 それから数か月が過ぎた。何か変わっただろうか? 変わらないだけでなく、いまや専門家たちも藁にすがる溺れた人のように見える。彼らがすがる藁のひとつがマスクだ。このAmerican Thinkerでもマスクの効果について多くの議論があったが、私はそれらの論争からは少し距離をおいている。

 2018年6月、5人の研究者が「食料品スーパーにおける再利用可能なエコバッグを介したノロウイルス代替物の拡散」と題する研究を発表した。ウイルスの代わりになる物質でエコバッグを汚染し、それを持ってスーパーで買い物をしてもらい、それがどう拡散するかを追跡したところ、どの実験でも店舗全体にそれは拡散されてしまったのである。

関連記事

トピックス

自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
【入浴中の不慮の事故、沈黙守るワイルド恋人】中山美穂さん、最後の交際相手は「9歳年下」「大好きな音楽活動でわかりあえる」一緒に立つはずだったビルボード
NEWSポストセブン
トンボをはじめとした生物分野への興味関心が強いそうだ(2023年9月、東京・港区。撮影/JMPA)
《倍率3倍を勝ち抜いた》悠仁さま「合格」の背景に“筑波チーム” 推薦書類を作成した校長も筑波大出身、筑附高に大学教員が続々
NEWSポストセブン
結婚披露宴での板野友美とヤクルト高橋奎二選手
板野友美&ヤクルト高橋奎二夫妻の結婚披露宴 村上宗隆選手や松本まりかなど豪華メンバーが大勢出席するも、AKB48“神7”は前田敦子のみ出席で再集結ならず
女性セブン
NBAロサンゼルス・レイカーズの試合を観戦した大谷翔平と真美子さん(NBA Japan公式Xより)
《大谷翔平がバスケ観戦デート》「話しやすい人だ…」真美子さん兄からも好印象 “LINEグループ”を活用して深まる交流
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
「服装がオードリー・ヘプバーンのパクリだ」尹錫悦大統領の美人妻・金建希氏の存在が政権のアキレス腱に 「韓国を整形の国だと広報するのか」との批判も
NEWSポストセブン
野球人・江夏豊が球界に伝えておくべきことを語り尽くす(撮影/太田真三)
【江夏豊インタビュー】若い才能のある選手のメジャー移籍は「大いに結構」「頑張ってこいよと後押ししたい」 もし大谷翔平と対戦するなら“こう抑える”
週刊ポスト
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《私には帰る場所がない》ライブ前の入浴中に突然...中山美穂さん(享年54)が母子家庭で過ごした知られざる幼少期「台所の砂糖を食べて空腹をしのいだ」
NEWSポストセブン
亡くなった小倉智昭さん(時事通信フォト)
《小倉智昭さん死去》「でも結婚できてよかった」溺愛した菊川怜の離婚を見届け天国へ、“芸能界の父”失い憔悴「もっと一緒にいて欲しかった」
NEWSポストセブン
11月下旬に札幌ススキノにあるガールズバーで火災が発生(右はInstagramより)
【ススキノ・ガルバ爆発】「男は復縁の望みをまだ持っていた」火をつけた男は交際相手A子さんを巻き込んで死のうと…2匹の犬を失って凶行に
NEWSポストセブン
再婚
女子ゴルフ・古閑美保「42才でのおめでた再婚」していた お相手は“元夫の親友”、所属事務所も入籍と出産を認める
NEWSポストセブン
54歳という若さで天国に旅立った中山美穂さん
【入浴中に不慮の事故】「体の一部がもぎ取られる」「誰より会いたい」急逝・中山美穂さん(享年54)がSNSに心境を吐露していた“世界中の誰より愛した人”への想い
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《真美子さんのバースデー》大谷翔平の “気を遣わせないプレゼント” 新妻の「実用的なものがいい」リクエストに…昨年は“1000億円超のサプライズ”
NEWSポストセブン