国内

現代芸術の本質は「社会問題になること自体を目的とした愚行」

田中一村のびょうぶ絵(写真/共同通信社)

 美術や芸術について論じるのは難しいが、なかでも現代芸術については難解だ。評論家の呉智英氏が、現代芸術の本質とは何か、芸術とはいかなるものかについて論じる。

 * * *
 コロナ禍はさまざまな分野に影を落としている。

 夏も終わろうとしている今、昨年まで各地で催されてきた花火大会のほとんどが中止に追い込まれている。むろん三密を避けるためだ。一部の地方では、開催場所を予告せずハプニング的に何発かの花火を打ち上げることも行なわれた。これはこれで面白い試みではあるが、やはり本来の花火大会に較べれば魅力は半減である。

 花火大会は例年日本中で約四百箇所で開催されている。恒例化し親しまれすぎているために気づかないが、これは壮大な「現代芸術」である。三年前まで私が住んでいた隣町では、毎年六月に川原で花火大会が開催される。費用は協賛金と公費でまかなわれるため観覧料不要で、その日は町の人口が二倍になるほど人が集まる。私もほぼ毎年鑑賞しているが、その見事さには感動する。花火の発色も形も毎年進化し、全体のストーリーもコンピューター制御で緻密に作られ、伝統技術の上に花開いた現代芸術だと実感した。

 現代芸術と言えば、ちょうど一年前、昨年八月の「あいちトリエンナーレ」の「表現の不自由展」を思い起こす読者も多かろう。私も本欄でこの愚行を強く批判しておいたし、今なおこの愚行の責任をめぐって議論が続いている。

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン