「タレント側も年末年始の休暇はオーストラリアやヨーロッパなどに行くのが主流になってきました。以前は“撮られてナンボ”と考える人が大物芸能人を含めて多かったですが、今は“せっかくの休みにわざわざマスコミが待っているハワイに行かなくてもいい”と考える人が増えてきたのです」(スポーツ紙芸能記者)
芸能マスコミも次々と撤退していった。最近では、限られたテレビ局のみになり、そのテレビ局も経費削減の流れもあって、少数のスタッフだけ派遣し、あとはハワイの現地スタッフに外注するケースがほとんどになった。そんななかでも、井上さんはこれまで延べ25回以上、正月のハワイ取材を続けてきた。井上さんは、今後についてこう語る。
「渡航ができるようになったとしても、今回だけじゃなく再来年以降、テレビ局がこの取材自体をやめる可能性は充分あると思います。以前はテレビ局でも年間10回近く海外取材をしていたこともありましたけど、今は取材にそんなにお金をかけられなくなっています。今回のコロナがこの正月の取材をやめるきっかけになるかもれません。
ボク自身、ちょうどいい区切りかなと思っています。ここ最近は、年末年始のハワイに取材に行っても、映像素材をマスコミ各社に提供して経費を差し引けば“もうけ”は全くと言っていいほどありません。伝えることには確かにやりがいはありますが、仕事としてやっている以上“持ち出し”でずっと続けられるわけではないですから」
そのうえで、「ハワイには取材の原点があった」と複雑な気持ちも吐露する。
「師匠だった梨元勝さんがずっと行っていましたしね。いつもはインタビューに答えてくれない人が答えてくれたり、家族や夫婦で出てくれるタレントさんもいらっしゃいます。タレントさんの“素”が見えるという意味では、ほかの場所では味わえない取材だと感じています。ボクとしてはそうした取材の場がなくなってしまうのは正直、非常に残念です」
コロナは芸能マスコミの恒例の取材にも大きく影響を与えているようだ。