ライフ

カリスマコーディネーターに聞くハワイ旅行の最新事情

 まず、検疫の必要がない乗り継ぎの乗客から飛行機を降りるので、それ以外の乗客は機内待機。マキさんの乗ってきた飛行機では10分ほどだったという。飛行機を降りたら、事前に渡されて準備しておいた質問票など3枚の書類のチェックを受け、唾液採取場へ。ソーシャルディスタンスを確保し、並ぶ。

 唾液採取場は仕切られたブースになっていて、ここで試験管のような容器に印がついているところまで唾液を入れる。

「ブースには梅干しとレモンの写真が貼ってあるんですよ(笑い)! でも唾液って意外に出てこないの。必要な量まで出すのはけっこうたいへん。泡ではダメで、かなり時間がかかりました。

 だから、飛行機が着陸したら機内から口の中に唾液を溜めておいたほうがいいですよ。もうこれは絶対おすすめします!」

 唾液が出ない場合は、粘膜を採取するPCR検査も選べるが、唾液による抗原検査よりも結果が出るまでに時間がかかる。混雑状況によっても異なるがマキさんの場合、唾液の検査の結果待ち時間は約15分だった。結果が出ると番号で呼び出される。

「成田空港は電光掲示板とかではないので、私は自分の番号が呼ばれたときにトイレに行っていて、遅いなーと思って係員の人に確認したので30分ほどロスしてしまいました」

 陰性であることを証明されると、「陰性」と書かれた赤い紙を渡され、入国審査へ。ただ、ここまでクリアしても入国できないケースがある。10月30日現在、日本国籍や就労ビザがないとアメリカから観光ビザでは入国できないのだ。

「同じ飛行機に乗っていた老婦人がいました。近くにいたので日本の係官とのやりとりが聞こえてきたのですが、彼女は初めての海外旅行で、日本在住の娘に会いに来たそうです。成田空港で滞在先を聞かれ『娘の家です。娘がもう成田空港まで迎えに来ています』とうれしそうに言いました。

 でも彼女が持っているのは観光ビザだとわかった瞬間、対応していた係官が心の底から『ああ、お気の毒に……』と絶望的な表情をしたんです。何とかしてあげたいという気持ちはあってもどうしようもできない」

 係官は上司に問い合わせに行ったが、やはりルールはルール。検査結果も陰性だったのに、日本へ入国できないことになってしまった彼女は、マキさんが貸してあげた携帯で娘さんに残念な連絡をした後、別室に案内されていった。

「それでも彼女は『あなたも係の方もよくしてくれたことに感謝している。日本に悪い印象はないわ』と言ってくれたんです。もう、見ていてほんとに心が痛かった……。4日後にはハワイから私のパートナーが日本へ来ることになっていたのですが観光ビザだったので、すぐに連絡して、結局キャンセルしました」

 ここまでの手続きを経てようやく入国できる。しかし、空港の外に出ても自由に移動することはできない。現時点では陰性でも日本到着から14日間の自主隔離が求められる。

「電車やバスなど公共の乗り物に乗ってはダメで、車を自分で運転するか家族に迎えにきてもらう、あるいはハイヤーを予約しておいて移動します。

 私は家族に車で迎えに来てもらって、そのまま熱海の温泉旅館で14日間の自主隔離をしました。これももちろん事前に、宿泊先に事情を説明して受け入れてもらえるか確認して予約しておきます。コロナ禍での移動は、事前の確認と予約がすべてだと思いました」

 この間、マキさんは一切の外出をせず、ひたすら部屋に籠もっていた。

「いつもアクティブに動いている私が2週間も誰にも会わずどこにも出かけないというのは初めての経験でしたが、本を読んだりゆっくり景色を眺めたり、普段できないよい時間が過ごせました」

 隔離明けには、日本にいる家族が旅館に合流して再会を楽しんだそう。

「今回の帰国の主な目的は、80代の母に会うこと。母は旅行が生きがいだったのですが、自粛で旅行できなくなり、食欲も落ち元気がなくなってしまっていたんです。

 でも妹と一緒に来てくれて温泉に入ったりおしゃべりしたら、お料理もおいしそうに完食。みるみる元気になってうれしかった」

ハワイに行ける日を待ち望んでいる日本人は多い Hawaii Tourism Authority (HTA) / Heather Goodman

 今後、海外旅行の規制も緩和されていくかもしれないが、機内や帰国の手続き、現地での過ごし方など新しい旅行習慣をおさえておくことが何よりも大切。

「これは今回の私の体験でしたが、状況次第で規定が変わるのでフライトの事情や入国の流れなども事前にこまめに調べておいてくださいね。

 ハワイでは10月22日からエステやマッサージ、美容院も解禁になったので、これから観光客の方を迎える体制になってきました。

    私もハワイに戻ったら、日本のホテルやお店の徹底した感染防止対策など今回日本で学んだことをハワイのホテルやサロンなどに伝えます。早く以前のようなハワイと日本の交流が安心して戻るように、希望をもって責任ある行動をしていこうと思っています」

ハワイのカリスマコーディネーター、マキ・コニクソンさん

【プロフィール】マキ・コニクソン/ハワイに20年以上在住し、テレビや雑誌のロケーションのコーディネートを通じて、ハワイの魅力を伝え続けている、ハワイと日本の架け橋。セレブリティとの交友関係が広い。日焼けスヌーピーで人気の『MONI HONOLULU』のショップディレクターほかブランドや店舗のプロデュースも行う。コロナ禍中に通販サイト『Alohappy by Maki Konikson』をオープン。難病と闘う子供たちの夢の実現をサポートする『Make-A-Wish Hawaii』のチャリティ活動など、多岐にわたって活動中。

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン