今の50代が社会に出た30年前と現在では、女性の立場は変わりつつある。たとえば、かつては上司のセクハラ発言は黙認されていた。当時の上司たちといえば、今のシニア世代だ。
「シニア世代のセクハラ発言を、しょうがないなーと思いやりを持って聞ける最後の世代が私たち50代という気がします。ただ、それに同調しないで、フェミニズム意識高い系の若い人たちにも理解を示す。そういう橋渡し的な役割も担っているのかもしれません」
新型コロナウイルスで外出自粛となったとき、酒井さんは堂々と家にいられることに、ほっとしたという。エッセイにそう書いたところ、読者から共感の声が次々に寄せられた。今まで、どこか無理をして会食や外出をしていた人がたくさんいたのだ。
「自分の本当の希望、欲望をこの機会に見つめ直して、コロナが終わった後も無理をしないで生きていこうとする人が増えるのではないかと思っています」
取材・構成/仲宇佐ゆり
※女性セブン2020年12月24号