各一門が抱える「年寄株」の火種
同年9月には、境川理事長(元横綱・佐田の山)がそうした不透明な実態の改革に乗り出す。年寄名跡を一括して協会預かりとし、売買を禁止する私案を発表。しかし、親方衆の猛反発を食らい、1年後には私案の全面撤回に追い込まれた。
「この時に反理事長派が独自に理事を擁立する動きを見せた。それまで協会の理事10人は、5つの一門から2人ずつが無投票で選ばれていたが、この頃から各一門の親方の数に比例して理事が選ばれるようになった。年寄株に“理事選の1票”の意味合いが出てきたわけです。人気力士が多かった二所ノ関一門はカネを出す有力タニマチが多く、一門外から株をかき集めていた」(協会関係者)
協会内の勢力争いの道具でもあるわけだ。
※週刊ポスト2021年1月15・22日号