国際情報

ついに動き出す「トランプ・チャンネル」を支える2人の大物

「私はすぐに帰ってくる」と言い残した意味とは(CNP/時事通信フォト)

「私はすぐに帰ってくる」と言い残した意味とは(CNP/時事通信フォト)

 バイデン政権が全速力で始動しているが、フロリダに去ったトランプ前大統領は隠居したわけではない。新しい動きが見えてきた。ニューヨーク在住ジャーナリスト・佐藤則男氏がリポートする。

 * * *
 トランプ前大統領は、1月20日にホワイトハウスを去る際、アンドルーズ空軍基地で支持者たちを前に演説し、「I will be back.(私は戻ってくる)」「I will see you soon.(すぐに会える)」と述べた。日米のマスコミのなかには、この言葉を根拠に、トランプ氏が新党結成を考えているのではないかと報じたところも多かった。が、それは違うのではないか。

 アメリカの政治や社会問題を扱うニュースサイトAxiosは、トランプ氏がデジタルメディアのベンチャーを設立するのではないか、という観測記事を掲載している。これは、筆者がトランプ氏の友人であるF氏から得た情報と一致する(すでにNEWSポストセブンでリポートした通り)。

 トランプ政権が誕生した直後に、F氏はトランプ氏について、定まった世界観や価値観はなく、損得を重んじるビジネスの原理で動く人物だと指摘していた。この4年間を見ると、確かにその通りだと感じるし、思想なき政権が倒れることも当然だったのだろう。それは政治家としての欠点でもあるが、同時にトランプ氏の才能でもある。トランプ氏の本領はビジネスで発揮される。不動産取引、不動産開発が主業であり、もう一本の柱は、趣味でもあると思うが、「You’re Fired!」の決め台詞で有名になったテレビのバラエティショー出演や、ミスユニバースなど娯楽性の強いコンテンツ作りである。トランプ氏のビジネスの能力については疑問を持つ人も多いが、娘のイヴァンカ氏、その夫のジャレッド・クシュナー氏など、ビジネスに有望な身内もいる。ビジネス界に戻ったトランプ氏は、もしかすると政界にいるより手ごわいかもしれないのだ。

 トランプ氏は、新党を作って仲間を集め、党勢を拡大していくというような地道な作業するマメな男ではない。最短距離で新しい市場に参入し、利益をあげ、会社を売り、大金を儲ける、というアメリカ的発想のビジネスマンである。F氏もかつて、「あれは政治などやれる男ではない」と評していた。

 現在、ケーブルテレビ界のキングはFOXニュースである。共和党テレビと呼ばれるように、保守系メディアで圧倒的な存在感を示してきた。ブッシュ政権時代にはブッシュ・チャンネルと呼ばれ、トランプ時代にはトランプ・チャンネルと呼ばれた。しかし、これもすでにリポートしたように、同局は昨年11月の大統領選挙報道で、他局に先駆けてトランプ敗色濃厚を伝え、それに激怒したトランプ氏と袂を分かったとされている。

 F氏によれば、FOXとの決別は、トランプ氏が独自のメディア設立を考える大きなきっかけだった。FOXオーナーのルパート・マードック氏はメディア王と呼ばれるが、その巨大な敵に対抗するには、同じケーブルテレビの土俵では分が悪い。まだ新しい市場であるデジタル・テレビの設立を考えるはビジネスマンとして当然だ。コストははるかに安く、視聴料金を格安にすれば視聴者の獲得には時間はかからない。このジャンルで先行する企業の例だと、無料放送を視聴した人の有料契約率は非常に高いとされ、巨大な装置産業である既存のテレビ局にとっては脅威になっている。マードック氏にとっては、手を切ったトランプ氏がそこに参入するとなれば強敵だろう。

関連記事

トピックス

立ち上げから7周年を迎える「新しい地図」
もうすぐ8年目、広がり続ける「新しい地図」のエンターテインメント 音楽、舞台、映画、テレビ、CM、おせちのプロデュース…果敢なチャレンジの数々
女性セブン
7月28日、DeNA戦に7安打無四球で3年ぶりの完封。9回に続投を志願して現役最多の22度目の完封勝利を飾り、菅野はマウンドでガッツポーズ
最多勝目前の巨人・菅野智之、完全復活の秘密 西本聖氏は「新たな菅野が誕生した」と絶賛、同級生・小林誠司とのコンビ復活も安心感に
週刊ポスト
セクシー女優と不倫した人気配信者・加藤純一
《目撃証言》「白いワンピースの女性と5つ星ホテルに……」セクシー女優と不倫の人気配信者・加藤純一(39)が謝罪配信で認めた「ハワイ旅行」現地でファンが目にした光景
NEWSポストセブン
20日早朝、新宿・歌舞伎町内のホテルから飛び降り亡くなったAさんとB子さん(本人SNSより)
【歌舞伎町ホテル転落死】「また同じ場所で若い男女が…」AさんとB子さんが出入りしていたトー横界隈、特殊詐欺事件に加担した過去
NEWSポストセブン
物件探しデートを楽しむ宮司アナと常田氏
《そろそろ入籍では?》フジ宮司愛海アナ 恋人のバイオリスト・常田俊太郎氏と“愛の巣探し”デート
NEWSポストセブン
復帰作にあたる舞台が公演中止になった前山剛久(インスタグラムより)
《神田沙也加さんの元恋人》前山剛久の復帰舞台、会場側は“上演中止”発表に驚き「聞いていません」
NEWSポストセブン
写真を見せると「出会いが多いから…」と話した眞鍋氏
《破局後に即ブロック》バレー女子日本代表監督・眞鍋政義氏、不倫相手に「チームの内部情報」を漏洩か「あいつはあれと付き合ってんねん」 本人は不倫を否定
NEWSポストセブン
ヤマハ発動機の現社長の日高祥博氏(時事通信フォト)
〈ヤマハ発動機社長を娘が切りつけ〉関係者が明かした日高社長の素顔「バイク野郎で大企業の社長っぽくない。家をあけることが多かったのかな」 海外通エリート社長は足下の家庭で……
NEWSポストセブン
バレーボール女子日本代表監督の眞鍋政義氏が“火の鳥不倫”か(時事通信)
《合宿先で密会不倫》バレー女子日本代表・監督つとめた眞鍋政義氏が女性トラブル、コート外で見せていた別の顔
NEWSポストセブン
殺人と覚醒剤取締法違反の罪に問われた須藤早貴被告
「YouTubeで過去事例を検索」“紀州のドン・ファン殺人公判”で明らかになった55歳年下元妻・須藤早貴被告の海外志向 逮捕で断たれたドバイで生活する「夢」
NEWSポストセブン
殺人と覚せい剤取締法違反に問われている須藤早貴被告
【有名な男優に会いたかった】ドンファン元妻・須藤早貴被告と共演した「しみけん」が明かす「彼女が面接シートに書いていたこと」
週刊ポスト
桂ざこばさんとの関係が深い沢田研二
【深酒はしなかった】沢田研二の「京懐石で誕生日会」にザ・タイガースのメンバーが集結!ただし「彼だけは不参加でした」
NEWSポストセブン
【1本30万円の出品も】サントリー100周年記念で社員に配られた「非売品ウイスキー」の高額転売騒動、広報部は「当社としては遺憾です」
【1本30万円の出品も】サントリー100周年記念で社員に配られた「非売品ウイスキー」の高額転売騒動、広報部は「当社としては遺憾です」
マネーポストWEB