東大病院など公的な大規模病院はもっと重症患者を受け入れられるのではないか(時事)
自民党の塩崎泰久・代議士は自身のメルマガ(1月17日付)で、「法的に厚労大臣が有事の要求ができる国立国際医療研究センターが重症患者をたった一人しか受けていない状態を放置」していると批判している。上氏はそうした事例を問題視する。
「たとえば総病床数が1217床、医師が940人いる東大病院の重症患者受け入れはたったの7人だという(1月7日現在)。アメリカでは、ボストンにあるマサチューセッツ総合病院が、一時、ICUに120人余りのコロナ重症患者を受け入れていましたし、スウェーデン最大のカロリンスカ大学病院は、患者が少なかった昨年2月にICUの病床を増やす計画を立てて、それまでの5倍の200床まで増床したそうです。海外では、公的な大規模病院がコロナ患者を集中的に受け入れる体制を取れているのに、日本はそれができていない。
そうした状態を放置したまま、政府が民間病院にコロナ患者を押し付けようとするのは間違いです。コロナ治療に慣れていない民間病院に広く薄く患者を受け入れさせれば、医師や看護師も慣れていないから患者にとっても良くないし、院内感染のリスクも高まり、良いことは何もない。特定の病院に患者を集中させれば感染対策もきっちりできるし、慣れたスタッフで対応できる。それをやるのは民間ではなく政府系の医療機関の役目です」
菅首相が会見で述べた「民間病院に依頼している」というのは、「飲食店に要請」「国民は協力を」という人任せ対策と同じだが、そもそも総理大臣として事態を正確に把握しているのかも疑問が残る。
「国立国際医療研究センターや東大病院にコロナ患者がわずかしかいないことを菅首相は知っているのでしょうか。厚労省が報告していないとすれば、総理大臣としてのマネジメント能力が問われますし、知っていて民間に押し付けようとしているとすればひどい話です」(上氏)
菅首相の政治哲学は「自助・共助・公助」だという。それが、「国民は勝手にやれ。自分たち同士でなんとかしろ。政府が助けてやるのは最後の最後だ」という意味でないことを祈るばかりだ。