「1950~1970年代の高度経済成長期に、多くの女性が専業主婦になりました。いまと比べると家事に時間をかけることができたので、ハンバーグやグラタン、ポテトサラダなど手間のかかるメニューを取り入れ、手のかかる料理が当たり前になった。それを食べて育った人たちは、そういったメニューが普通だと思っているんです。
でも、いまは時代が違う。共働きだったり、コロナ禍で3食分の料理を作る必要があるなら、到底同じことはできません。飲食店の営業時間に間に合わないのなら、総菜やデリバリーを利用してもいい。自炊をするとしても、簡単な料理でいいんです」(阿古さん)
阿古さんによれば、欧米では料理に手間をかけないことが普通だという。ドイツでは夕食にパンとハムを切って皿に並べるだけの日もあるという。料理といっても、肉や野菜を切って、オーブンに入れて焼くだけなど、簡単なものが多い。
「旅行やライブ、祭りなどのイベントが開催されないいま、食事が唯一の楽しみという人も多い。感染対策を徹底し、営業時間内であれば、外食をしてもいいのではないでしょうか。家にこもって心の健康を害するより、ずっといいと思います」(阿古さん)
実際に、飲食店はパーテーションによる飛沫防止やアルコール消毒のほかにも、さまざまな取り組みを行っている。ファミリーレストランの「サイゼリヤ」は食事をしながらつけられるマスクを導入。回転ずし店の「かっぱ寿司」や焼肉店の「牛角」では、一部店舗でロボットによる無人配膳を開始した。こうした最新の感染対策を楽しむのもいいだろう。
食は生きる力を生む重要な営み。便利なものは利用しつつ、しなやかにコロナ禍を乗り越えたい。
※女性セブン2021年2月11日号