国際情報

弾劾裁判は「無罪」と「共和党服従」でトランプ圧勝に終わる

弾劾裁判にも余裕しゃくしゃく(EPA=時事)

弾劾裁判にも余裕しゃくしゃく(EPA=時事)

 トランプ氏の弾劾裁判は、冒頭から民主党と共和党が激しく対立しているが、“被告人”であるトランプ氏自身はフロリダの別荘でテレビ観戦し、無罪評決が下ることも九分九厘決まっている。では、この裁判の「意味」とは何なのか。ニューヨーク在住ジャーナリスト・佐藤則男氏が分析する。

 * * *
 トランプ大統領の自身2回目となる弾劾裁判が始まった。裁判とはいっても上院で議員が陪審員となって行うのだから政治的な裁判である。現在の上院勢力図は民主党50人、共和党50人だから、二大政党が対立するテーマでは基本的には議決は引き分けになる。過半数で決まる法案などなら、議長であるハリス副大統領が最後の1票を投じる権利があるので、事実上、民主党が51対50で有利だが、弾劾裁判で有罪判決を下すには3分の2の票が必要になるので、67票なければ有罪とはならない。つまり、共和党から17人の“造反者”が出なければ、トランプ氏が有罪になることはない。

 トランプ弁護団は、まずこの裁判が憲法違反だと主張した。弾劾裁判とは現職の大統領を訴追するためのものだから、すでに大統領を退任して「一般市民」になったトランプ氏を裁くのは憲法の規定に反するというのである。それに対して検察官役を務める民主党のラスキン下院議員は、「弾劾の権利は、むしろ政権の最後の期間にこそ必要になる」と主張し、
裁判冒頭で上院は、この裁判が憲法違反かどうか評決した。その結果、56人が憲法違反にはならないとしたことで、今後も裁判は続くことになったのだが、ここでの共和党の造反はわずか6人。そもそも裁判自体が憲法違反だという立場を表明した共和党議員44人が有罪評決を下す可能性はほとんどないから、すでにトランプ氏の「無罪」は確定的だと言ってもいい。その意味では不毛で虚しい裁判である。

 当然、トランプ氏は余裕しゃくしゃくだ。自らは裁判で証言しないと表明して完全無視を決め込み、ロンドン・タイムズの報道によれば、フロリダの別荘で休暇を楽しみ、ゴルフに興じて、親しい友人たちと豪華な食事を囲んでくつろいでいるという。

 それ以上にトランプ氏にとって笑いが止まらないのは、大半の共和党議員が、今もトランプ氏への支持を明確にしたことだろう(50人のうち44人が恭順の意を示したのだから、党内の支持率は88%に及んでいる!)。トランプレスの共和党はリーダーレスだということを、今回の裁判は明らかにしたと言える。少なくとも当面の間、トランプ氏は共和党の唯一のリーダーとして君臨できることがわかったのだから、おそらく本人にとって忌々しい裁判ではあるものの、その場面をテレビで見てニヤリと笑っていることも想像に難くない。

関連記事

トピックス

【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
どんな演技も積極的にこなす吉高由里子
吉高由里子、魅惑的なシーンが多い『光る君へ』も気合十分 クランクアップ後に結婚か、その後“長いお休み”へ
女性セブン
『教場』では木村拓哉から演技指導を受けた堀田真由
【日曜劇場に出演中】堀田真由、『教場』では木村拓哉から細かい演技指導を受ける 珍しい光景にスタッフは驚き
週刊ポスト
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン
わいせつな行為をしたとして罪に問われた牛見豊被告
《恐怖の第二診察室》心の病を抱える女性の局部に繰り返し異物を挿入、弄び続けたわいせつ精神科医のトンデモ言い分 【横浜地裁で初公判】
NEWSポストセブン
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
各局が奪い合う演技派女優筆頭の松本まりか
『ミス・ターゲット』で地上波初主演の松本まりか メイクやスタイリングに一切の妥協なし、髪が燃えても台詞を続けるプロ根性
週刊ポスト
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン