2人以下での来店を求めるバー店内の注意書き(イメージ、時事通信フォト)

2人以下での来店を求めるバー店内の注意書き(イメージ、時事通信フォト)

 その後、銀座のママ達が窮状を知ってもらおうと、テレビの取材を受けて、感染対策を厳重にして営業している姿勢をアピールしたりもした。だが、涙ながらの彼女達の訴えが報じられても、客足が戻るどころか聞こえてくるのは非難ばかり。それでも常連客との交流があったから続けられたようなところもあったのに、今回の騒動で、そのよすがも失ってしまった。

「一回目(の緊急事態宣言)以降、ずっと瀕死の状態。夏が過ぎて少しだけ客は戻りましたが、2回目でもうダメかなと。そこに今回の騒動ですからね。政治家さんが悪者にされるのと同時に、銀座のクラブもやっていたのか、けしからん、潰れてしまえ。SNS上のそんな意見を目にして、流石に心が折れました」(山谷さん)

 接客商売、しかも飲食業は、そのお店へ行く日常がいったん途切れてしまうと、店を再開しても客が戻りづらい。それは銀座の高級クラブでも同じで、完全に休業してしまうと、古くからつきあいがある常連客であっても足が遠のく可能性が高い。そんな未来にならないように、また、馴染みの店でくつろげる時間を失いたくない常連客のために、表向きには看板を降ろしたまま、中で接客営業を続けていた。もちろん、感染対策は徹底したうえで、だ。

 銀座の高級クラブの客は山谷さんの店だけでなく、どこも中高年層がメイン。万一、コロナに感染してしまえば重症化する可能性は若者より圧倒的に高い。さらに、通ってくれるような金銭的に余裕がある客のほとんどは一流企業、大手企業の幹部クラスで、飲み代は経費ということも多い。ところが、大企業の多くが、コロナ対策として、外食をしないよう社員に向けてお触れを出したため、経費も使えない。では、前述のようにこっそり店へやってきていた客とは、どんな人たちなのか。

 それは件の議員のように自分の裁量でまとまったお金を使える人たちだ。たとえば現役を引退した悠々自適の老後を過ごす資産家男性、どうしても自粛できない中年のビジネスマンなど、自腹を切ってでも飲みたいという常連客のニーズが存在したのである。だから、前述のように休業を装って、客の要望に応える形で営業した。

 高級クラブが何店も入居する、銀座の雑居ビルオーナー・時任真一さん(仮名・70代)がいう。

「結局、緊急事態だなんだと言っても、会社は動いている、経済は動いているんです。だから銀座の店の一部は、懇意の客から依頼があれば場合によってはこっそり開けていた。売り上げなんか期待してないよ、家賃の足しにもなんないんだから。ただ、銀座の文化を守りたい、生活を守りたい、そういう気持ちだけ。でも、今回の騒動で銀座への風当たりとか、監視の目はもっとキツくなるだろうね。あの報道の後、夜の銀座をマスコミ関係者が監視しているというし、こっそり客も流石にこない。自民のセンセイ、店に来てもらうのはいいけどね、タイミングも悪いし脇も甘すぎる。もう、銀座は終わりじゃないのか、ってみんな出ていくよ」(時任さん)

 与党関係者の無責任行動は、ひょっとしたら、営業継続が難しい馴染みの店を助けるような気持ちも、発端のひとつだったのかもしれない。だが、彼らの浅はかな善意は国民を呆れさせただけでなく、お気に入りの店の持続可能性まで奪ってしまったようだ。

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