国内

震災時の報道でバッシング受けた福島・双葉病院 事実無根だった

福島県大熊町の双葉病院(2021年2月23日撮影)

福島県大熊町の双葉病院(2021年2月23日撮影)

 いつの時代も政治家は失言をするもの。10年前の東日本大震災後も、政治家の失言が相次いだ。「知恵を出さないやつは助けない」(2011年7月、松本龍元復興対策担当相)、「(原発事故で)死亡者が出ている状況ではない」(2013年6月、高市早苗・元自民党政調会長)、「最後は金目」(2014年6月、石原伸晃元環境相)、「東北でよかった」(2017年4月、今村雅弘元復興相)など挙げればキリがない。

 2011年9月、鉢呂吉雄経産相(当時)は福島原発周辺の自治体を「死の町」と呼び、福島第一原発視察後のオフレコ取材で「放射能つけちゃうぞ」と発言したとして、辞任に追い込まれた。

 現在も立憲民主党所属の参院議員である鉢呂氏にコメントを求めたが、「今回は御遠慮したい」と断わりがあった。

 政治家たちが無神経で配慮のない失言をする一方で、被災地にありながら、大きなバッシングを受けたのは福島県大熊町にある双葉病院だ。原発事故で取り残された入院患者の救助が遅れたために、約50人の患者が命を落とした。3月17日、県が入院患者の救出状況について「病院関係者は1人も残っていなかった」と置き去りにしたかのような発表を行ない、メディアがそれを一斉に報じた。

 しかし、真実は違った。電気も水道もストップし、放射線量も高いなか、鈴木市郎院長をはじめ4人のスタッフは病院に留まり、看護を続けていた。震災直後から双葉病院を取材するジャーナリストの森功氏が語る。

「双葉病院がある地域は現在も帰還困難地域に指定されています。病院の敷地内は無造作に木が生い茂り雑木林のようなのに、病院内はベッドや点滴台、散乱したオムツまで震災当時のまま。

 鈴木院長は2年前にがんで亡くなられたが、病院関係者は今も事実無根の報道の影響で心ない人から時折罵詈雑言を浴びている」

 震災の爪痕は、かたちとして残っているものだけではない。

撮影/山崎力夫 取材/森功

※週刊ポスト2021年3月19・26日号

関連記事

トピックス

エプスタインと若い女性(民主党資料より)
《スケスケのセーラー服を着て膝をつき…》「エプスタイン文書」から膨大な“少女の動画”発見、資料が示す“現場での行為内容” 
NEWSポストセブン
2025年に成年式を終えられた悠仁さま
《皇族一人あたりの警備費が表に出ないワケ》悠仁さま「公務全出席」報道で「警備費」に懸念も──側衛との意外な関係 
NEWSポストセブン
女優の天野はな(左)と木竜麻生(右)(事務所HPより)
《朝ドラや大河だけじゃなかった》天野はな、木竜麻生、森田望智、伊藤万理華…NHKによる「見い出し・囲い込んで・育てる」パターンでブレイクするアラサー女優たち
NEWSポストセブン
「住吉会幸平一家特別対策本部」の看板を設置する警視庁暴力団対策課の葛城俊英課長(右)と大場俊彦管理官(時事通信フォト)
《トクリュウと暴力団》四次団体の組長クラス「上納金払えない…」で手を染めることも 「ヤクザは闇バイト禁止」も住吉会から逮捕者多数か
NEWSポストセブン
(朝鮮通信=時事)
《顔が変わった?》北朝鮮・金正恩総書記の愛娘ジュエ氏「あか抜けて、口元には上品さも」85日ぶり登場で“驚きの姿”──成長期かそれとも……バツグンの存在感を発揮 
NEWSポストセブン
秋篠宮ご夫妻と佳子さまが揃って会場を訪れるのは今年で4回目となる、花の展覧会。今年は栃木県の県花のヤシオツツジや栃木県産のカーネション、バラを使った作品をご覧になった (撮影/JMPA)
秋篠宮ご夫妻と佳子さま、花に囲まれ笑顔満開 『関東東海花の展覧会』をご鑑賞、フォトブースでは一家揃って記念撮影も 
女性セブン
1992年、黒海艦隊の取材でクリミアを訪れた(撮影/山本皓一)
《追悼・落合信彦氏》エルサレムでは銃撃に遭遇したことも… それでもなお現場取材を続けた理由「“今”を必死で生きる気持ちを忘れないでいたいから」の言葉
週刊ポスト
2025年11月、ホーコン王太子とメッテ=マリット妃
《彼女は17歳だよ。きっと楽しいと思う》ノルウェー王室激震、エプスタイン元被告と次期王妃の“黒塗り”メール――息子マリウスは“性的暴行”裁判渦中 
NEWSポストセブン
現地では大きな問題に(時事通信フォト)
《トゥクトゥク後部座席での行為にタイ現地の人々が激怒》フランス人観光客の“公開露出”に目撃者は「丸見えだった」 入国ブラックリストに
NEWSポストセブン
父・落合信彦氏の葬儀で喪主を務めた落合陽一氏
「落合信彦の息子という記述を消し続ける時代があった」落合陽一氏が明かした、父について語り始めた理由“人の真価は亡くなった時に分かる”【インタビュー】
NEWSポストセブン
本来であれば、このオフは完成した別荘で過ごせるはずだった大谷翔平(写真/アフロ)
《大谷翔平のハワイ訴訟問題》原告は徹底抗戦、大谷サイドの棄却申し立てに証拠開示を要求 大谷の“ギャラなどの契約内容”“資産運用の内幕”が晒される可能性も浮上 
女性セブン
表舞台から姿を消して約1年が経つ中居正広
《キャップ脱いだ白髪交じりの黒髪に…》「引退」語った中居正広氏、水面下で応じていた滝沢秀明氏からの“特別オファー” 
NEWSポストセブン