東日本大震災から10年──。あのとき注目を集めた人々、モノのその後を追った。
震災直後、各企業のテレビCM自粛に伴い急増したのがACジャパン(旧公共広告機構)のCMだ。なかでも『あいさつの魔法。』と題されたCMの「魔法の言葉で楽しい仲間がポポポポ~ン」のフレーズは話題になった。
同曲を歌った音楽家・松本野々歩さんは、いまどうしているのだろう。
「震災以降はライブを中心に活動し子供向けコンサートに注力。現在はコロナ禍で活動を控えているが、今後も被災地でのライブを続けるそうです」(芸能記者)
「ポポポポ~ン」と同様、何度もテレビで流れたのはACジャパンのがん検診啓発CMだ。出演していたのは、子宮がんを患った仁科亜希子と仁美の親子。当時は「こんな時にがん検診なんて」という抗議も寄せられ、2人はブログで「とても悩んでいます」と綴ったこともあった。
「現在、亜希子さんは年に1~2本のドラマ出演のほか、がん闘病に関する講演活動を続けています。娘の仁美さんはバラエティ番組などに出演していましたが、事務所を退所し、2015年に第一子を出産。SNSに育児の様子をアップするなどしています」(同前)
震災を機に広く知られるようになったモノもある。原発事故により、東日本を中心に爆発的な需要を起こしたのがガイガーカウンター(放射線測定器)だ。機器を片手に記者が各地の放射線量を測る様子はどの震災ニュースでも定番だった。
福島の板金加工企業・三和製作所は2011年、ガイガーカウンター「ガイガーFUKUSHIMA」を開発・製造した。
「福島に残り暮らし続ける人の一助になればという思いで開発しました。福島だけでなく、関東からも注文予約が殺到し納品まで2~3か月待ちの状況が続きましたが、2年ほどで落ち着き、現在は1か月に1台売れる程度です」(斎藤雄一郎社長)
※週刊ポスト2021年3月19・26日号