まさに「血液ドロドロ」の時間帯
その理由についてケリー博士は、「早起きによって体内時計の周期と実際の生活リズムにギャップが生じ、臓器に負担がかかってしまうから」と分析した。
同研究では、個人差があるとしながらも、15~30歳で9時、31~64歳で8時、65歳以上で7時を「理想的な起床時間」としている。
睡眠時間の長短が健康に影響を及ぼすという研究結果は多い。しかし、ケリー博士の研究のポイントは、就寝時間を考慮せず「起床時間のみ」に着目した点にある。
『「正しい時間の使い方」が、あなたの健康をすべて左右する』(東洋経済新報社刊)の著者で、石黒クリニック院長の石黒源之医師が解説する。
「私は生体リズムなどに基づいて、生命にとって危険な時間帯を“ブラックタイム”と命名しています。まさに早朝6時頃はさまざまな病気が起こりやすい“ブラックタイム”なのです」
特に心筋梗塞や脳梗塞など命に関わる血管の病気に影響が大きいと指摘する。
「就寝中は発汗量が多い上に水分を摂取できないため、脱水症状を引き起こしやすい。腎臓では血液から1時間に60ccほど尿を生産しているので、もし6時間寝ていればその間に360ccの水分が減ることになります。そのため起床時は血液がドロドロの状態になっているのです」(前出・石黒医師)
血小板の働きも関わってくる。
「人間の生体リズムの研究では、血を固める役割のある血小板の凝固作用が最も強くなるのが朝6時頃とされています。
人間は起床時に血管が収縮して血圧が上昇し、脈拍も早くなる。つまり収縮した血管に粘度の高い血液が流れるため、血栓ができやすくなる。心筋梗塞や脳梗塞、狭心症を引き起こしやすい危険な時間帯なのです」(同前)
※週刊ポスト2021年4月9日号