ライフ

絵品作家でもある室井滋さんがセレクト 動物が登場する絵本5選

 自身が文を担当した絵本『会いたくて会いたくて』(絵・長谷川義史さん)も話題の室井滋さん。2014年から『室井滋のしげちゃん☆おはなしラジオ』(FMとやまなど)のパーソナリティーを務め、そこで絵本や昔話の紹介や読み聞かせなどをしている。これまで膨大な数の名作を読んできた室井さんに、「動物が登場」するおすすめ絵本5冊を紹介してもらった。

 * * *
『ねこのおんせん』

『ねこのおんせん』(別役実・作、佐野洋子・絵/教育画劇)

『ねこのおんせん』(別役実・作 佐野洋子・絵/教育画劇)

別役実・作/佐野洋子・絵 (教育画劇)

 劇作家の別役さんだけにパンチのきいた風刺が印象的だ。愛猫家の中には、自分の子供や恋人よりも猫の方がかわいいという人は結構いますよね。そうした動物にゾッコンになる人のことをよく観察していて、そこがとても面白い。私自身も思いあたるので、ちょっと薬となるようなお話で、朗読したいなって思います。

『100万回生きたねこ』

zz

『100万回生きたねこ』(佐野洋子・作と絵/講談社)

佐野洋子・作と絵 (講談社)

今回選ぶに当たって久しぶりに読んだらまた泣けて泣けてしょうがない。とても素晴らしい絵本です。切ないけれども真実を示してくれている。生きていることの深みを感じさせてくれる本で、ここに書かれていることは大人になって誰もが考え感じ入る話だと思います。いままで何匹も猫がいて、何匹も看取ってきていますが、この絵本を読むと、私の亡くした猫たちはどういうふうに思っていたのかな、私のことなんか大嫌いだったかな、とかいろいろ思うんです。いつかこんな絵本が描けるようにと目標にしています。

『ねこのシジミ』

あああ

『ねこのシジミ』(和田誠/ほるぷ出版)

和田誠 (ほるぷ出版)

 これも私が大好きな絵本で、和田さんのおうちの日記のようなお話です。和田さんの息子の唱ちゃんが猫を拾ってきて、その仔があまりにも小さくてシジミが落ちているみたいだからと名付けられたその仔と、家族の触れ合いが描かれています。ただ眺めているだけでも、この絵本そのものが猫を抱っこしたときに感じる幸せな気持ちになれる本です。

『アンジュール ある犬の物語』

あ

『アンジュール ある犬の物語』(ガブリエル・バンサン/BL出版)

ガブリエル・バンサン (BL出版)

 線画のスケッチのような絵だけで、文字が一切出て来ません。成人した犬がある日突然、ドライブ中に車から放り投げられて捨てられて‥‥悲しい気持ちとそれでも飼い主が戻ってくるんじゃないかという揺れる思いの変化と、絶望した後も生きて行かなければならない苦しみを描いていて、もう見事。泣けて泣けてしょうがないんですよ。この犬に幸せになってもらいたいと祈るような気持ちで毎回読みます。

関連キーワード

関連記事

トピックス

吉村洋文・大阪府知事の政策の本質とは(時事通信フォト)
吉村洋文・大阪府知事が「ライドシェア大幅緩和」を主張で「かえって渋滞を深刻化させる」リスク 派手な改革を求めるほどに際立つ「空疎さ」
週刊ポスト
高級寿司店でトラブルが拡散されたA子さん(寿司の写真は本人SNSより)
《高級寿司店と炎上の港区女子に騒動後を直撃》「Xの通知が一生鳴り止まないんじゃないか」大将と和解後の意外な関係
NEWSポストセブン
(左から)湯周り給湯設備メーカー「ノーリツ」の新商品発表会に出席した安めぐみと藤本美貴
【不倫の抑制にも】藤本美貴、安めぐみ「結婚相手は芸人がいい!」 は意外と正論「夫婦セット売りで裏切れない関係に」
NEWSポストセブン
小倉優子
小倉優子、早々の「大学留年宣言」がおいしすぎる理由 「女子大生+ママ」の二刀流は唯一無二、ゆくゆくは企業の役員の道も?
NEWSポストセブン
一時は食欲不振で食事もままならなかったという(4月、東京・清瀬市。時事通信フォト)
紀子さま“体調不良報道”でも気丈な姿、単独公務先で「こちらにどうぞ」と気さくに声かける お元気そうな様子に同行していた記者たちは驚き
週刊ポスト
現地でくばられたノアさん関連のビラ(時事通信フォト)
《人質らが証言する劣悪環境》ボーイフレンドの目の前でハマスに拐われた26歳女性の救出に成功も「体重激減」「ゴミ箱で排泄」の惨状
NEWSポストセブン
6月9日、鹿児島市内の認定こども園で、刃物のようなもので男児の首を切りつけて出血させたとして、殺人未遂容疑で逮捕された笹山なつき容疑者(21)
《鹿児島2歳児切りつけ》「見えたらいけないものが…」21歳の女性保育士が犯行前にSNSで意味深投稿 母校の高校関係者は「夢の実現目指して熱心に勉強を」
NEWSポストセブン
中村芝翫と三田寛子
三田寛子、夫・中村芝翫と愛人の“半同棲先”に怒鳴り込んだ「絶妙タイミング」 子供たちも大事な時期だった
週刊ポスト
全国ライブ中の沢田研二
《ファンの声援にブチ切れ》沢田研二が「見てわからんか!」とステージ上で激怒し突っ込んだ「NGワード」
NEWSポストセブン
長所は「どこでも寝られるところ」だと分析された(4月、東京・八王子市。時事通信フォト)
愛子さま、歓迎会の翌日の朝に遅刻し「起きられませんでした」と謝罪 “時間管理”は雅子さまと共通の課題
NEWSポストセブン
日本中を震撼させた事件の初公判が行われた
【悲劇の発端】瑠奈被告(30)は「女だと思ってたらおじさんだった」と怒り…母は被害者と会わないよう「組長の娘」という架空シナリオ作成 ススキノ事件初公判
NEWSポストセブン
【全文公開】中村七之助、梨園きってのモテ男が“実家お泊り愛”の真剣交際 お相手は京都の芸妓、直撃に「ありがとうございます」
【全文公開】中村七之助、梨園きってのモテ男が“実家お泊り愛”の真剣交際 お相手は京都の芸妓、直撃に「ありがとうございます」
女性セブン