脳のエネルギー消費は膨大であるため、使わないシナプスは節約のために徐々に弱まり、消えていく。これが「記憶を失う」という現象だ。「もの忘れ」とは、脳がエネルギー消費を節約した結果、さほど重要ではないと判断したものを記憶しなくなることで起こると言い換えられる。
加齢によってもの忘れが多くなるのは不自然ではないと言える一方、認知症は別だ。老化によるもの忘れは「忘れた」という自覚があるが、認知症は脳の異常が要因であるため、体験したこと自体を忘れ、忘れた自覚すらない。
家族や周囲の人たちから、自分でも気づいていないもの忘れを指摘されるようになったら、かかりつけの病院などに相談してみることが必要だ。
※週刊ポスト2021年5月21日号