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10勝を挙げながら引退した村田兆治氏「見事なる引き際」の真意

村田兆治氏が貫いた選手としての美学とは(時事通信フォト)

村田兆治氏が貫いた選手としての美学とは(時事通信フォト)

「功成り名遂げて身退くは天の道なり」。昭和のプロ野球界でそんな見事な引き際を見せたのが、“マサカリ投法”で三振の山を築き、通算215勝を記録した元ロッテの村田兆治である。1990年にシーズン10勝を挙げながら、きっぱりと現役を引退し“エースの美学”を貫いた。

「1982年に右ヒジを故障したものの、翌年、他の正常な腱を移植するトミー・ジョン手術を受け、2年間のブランクを経て復活。1985年には日曜日ごとに先発して“サンデー兆治”と呼ばれた。復帰後もコンスタントに2桁勝利を挙げていたので、ファンも周囲もまだまだやれると思っていました」(ベテランスポーツ紙記者)

 40歳での惜しまれながらの引退について、村田本人はこう語る。

「変化球主体でやれば、まだ数年はやれたかもしれない。しかし、それでは私の考える“村田兆治”ではないんです。自分が頑張ってこられたのは、先発完投にこだわり、与えられた仕事を最後までやり通すことが、自分のプロとしての意地、モチベーションにつながっていたから。自分の限界は自分が一番よくわかる。もう自分らしい投球ができない、このままいけばファンを裏切る成績しか残せないと思ったので、“けじめ”をつけたんです」

 自分の“信念”に根ざした引退こそが、次につながるとも村田は話す。

「現役を終えることは誰でも悲しいし、つらい。しかし、本人に信念があれば結論は見えてきます。もし“まだやれる”という意地があるなら、頑張ってもう一度輝けばいいし、それは引退後の次のステップになる。野球解説や講演でも、信念を貫いた者だからこそ説得力があり、人を感動させることができる。逆にただ“辞めたくない”とダラダラ現役を続けるのでは、ファンに見放され、次の人生にもつながらないと思います」

※週刊ポスト2021年5月28日号

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