セ・パ交流戦を目前に、広島でチーム内クラスターが発生。主力を含む12人が陽性となり、5試合連続延期という異例の措置が取られた。すでに首位・阪神から大きく引き離されたなかでの大量離脱で、まさに大ピンチだ。
ただ、「カープはさらに深刻な問題を抱えている」と話す球団関係者の声は暗い。
「コロナの影響による大幅な収益悪化です。昨年度の売上高は前年比約83億円減となる約85億円。当期損失は約29億円で、46年ぶりの赤字転落となりました。球団経営の“優等生”だったのが、コロナで一気に暗転してしまった」
もちろん、昨年度は無観客試合や入場制限があったため、どの球団も大幅な収益悪化に直面しているが、12球団で唯一、親会社を持たない独立採算制である広島にとっては、とりわけその影響が大きいのだという。
「他球団は赤字でも、親会社が広告宣伝費として補填をしてくれるが、カープにはそれがない。コロナ感染拡大で今季も苦況は避けられず、その影響がいちばん大きいのはカープでしょう」(スポーツ紙デスク)
まさに泣きっ面に蜂の状況だが、広島OBの安仁屋宗八氏は「前を向くしかない」と語る。
「コロナの影響は大きいが、今季の成績は気にすることはないと思っているんです。若い選手がチャンスととらえて頑張り、結果として彼らが育ったらそれでいい。栗林(良吏)はじめ、森浦(大輔)、大道(温貴)、矢野(雅哉)とルーキーもみんな活躍してくれていますから、来年以降につながると思います。
苦しい経営状況を乗り切るには、ファンにグッズを買ってもらうなど、少しでもカープのためにお金を落としてもらうしかないが、心配ないでしょう。頑張っている若手たちはもとの給料が高くないから、オフの契約更改で年俸を上げてやることもできるはず」
選手もファンも、そこまでポジティブにとらえることができるだろうか。
※週刊ポスト2021年6月11日号