ある男性キャストが最近、70代の祖父に「お前たちは世に不満がたくさんあるくせに、何も運動を起こさないのか?」と鋭く問われたという。中村が続ける。
「ヒロイン・神林の仲間思いの使命感、そして、男性キャストが9割というものすごい熱量と大量の汗とともに、物語が展開されていきます。まだけいこ途中ですが、お客さんには、必ず何かが伝わると感じています。
つかさんのセリフは、掛け合いのテンポが速くて、独特のリズム感があって、私たちとお客さんたちが一体感を感じられます。一緒に気持ちが上がっていく感覚があるんです。そうなってもらうために、私たちは一生懸命けいこして、しっかり演じていくという覚悟しかありません」
約1年前。最初の緊急事態宣言によって、上演直前にいったん白紙にされた舞台。ようやく実現する“リベンジ公演”である。そんな背景もあり、貯め続けてきたエネルギーは、物語の内容とともに大きな爆発力を生もうとしている。
「歴史あるつか作品と聞くと、リアルタイムの1970年代を知らない方々からは、堅苦しいものと誤解されているかもしれません。でも、実際は全然違います! 池袋に遊びに来たついでとか、通勤・通学帰りに寄るような軽いノリで見に来てください」(中村)
7月12日から4度目の緊急事態宣言が始まったが、感染予防対策を万全にし、予定通りに上演される。こんな時代だからこそ、何か生きるヒントが見つかるような舞台となりそうだ。
◆たやのりょう一座 第8回公演 つかこうへい作品『飛龍伝』
会場:東京芸術劇場シアターウエスト
日程:2021年7月28日(水)~8月1日(日)
7月28日(水)18:30
7月29日(木)18:30
7月30日(金)14:00、18:30
7月31日(土)13:00、18:00
8月1日(日)13:00