訪ねたのは東京都品川区の「d garden五反田店」(ドコモショップ五反田店)。シニア層の支持が強い「らくらくスマートフォン」をはじめ、「Android」「iPhone」と機種ごとに講座が用意されている。スマホを触ってみる体験編から、入門編、基本編、応用編、活用編と、レベルに応じた講座を選ぶことができ、TwitterやInstagramの利用法を学べる有料講座も用意されている。全講座、1回60分。他社の回線契約者も受講できる。
見学したのは、入門編「らくらくスマートフォンで電話とメールをしよう」という無料講座。受講者全員、ガラケーからスマホに乗り換えたばかりのシニア世代だった。講師は2人態勢で、テキストの流れに沿って大きなモニターに操作画面を映して解説する。受講者は自分のスマホを操作しながら体験して手順を覚えていく。
最初は「電話とメール」をテーマに60分も学ぶことがあるのだろうかと思ったが、講義が進むにつれて自分ひとりでは気付けない便利機能が意外と多いことを実感する。電話の連絡先の登録方法、通話音量の調整方法やスピーカーフォンに切り替える方法、SMS(ショートメッセージ)やメールの宛先の入力方法、迷惑メール対策の設定方法など。操作がわからなくなった場合は、もう1人の講師が席に来て個別に指導してくれる。
講座に参加した近所の女性(81歳)は、「スマートフォンに変えたのは、古くなったという理由とボケ防止も兼ねて(笑)。テキストは持ち帰りができるので、家に帰ってからテキストを見て使い方を勉強し直しています。写真を送ったりもしてみたい」と話す。
五反田店で教室の講座を受ける年齢層は70代~80代が中心で、最も多いのはガラケーからスマホに変更した人。90歳でスマホデビューし、受講で習得したキャッシュレス決済を使いこなしているユーザーもいるという。
同講座の講師を務めた岩田愛里さんに、受講者から特に多い質問をたずねると、「通知機能でスマホ画面に送られてくるお知らせの意味や対応の仕方について」だという。「買い換える前にスマホを体験してみたいという需要もあり、貸し出し用スマホでご参加する方も多いです。特にシニア層の方は、納得してからスマホを買いたいという傾向が強いですね」(岩田さん)
NTTドコモのドコモスマホ教室担当者によると、今年7月から全国約2300店舗のドコモスマホ教室講師約1万5000人を対象に「スマートフォンインストラクター」資格制度をスタートし、スキルアップや養成にテコ入れをしているという。
昨年来の通信料をめぐる価格競争は一段落した感がある中、今度は顧客サービスで各社がしのぎを削ることになりそうだ。
◆撮影/太田真三