「家族の1人が感染したら隔離されますが、全員の場合は、重症化リスクが低ければ自宅療養です。私が診ている患者さんのオミクロン株の特徴は、発熱、喉の痛み、鼻水、咳などの症状が同時に現れることです。第5波までよりも、若くて元気な患者さんが多く、重症化するリスクはほとんどみられないので、自宅療養が多くなると考えられます」(長尾さん)
家族全員が自宅療養になった場合の生活はどうか。医療ガバナンス研究所理事長で内科医の上昌広さんが説明する。
「家族の誰かが感染している場合は自宅のなかで寝室や動線を分けて、なるべく接触しない生活スタイルが求められます。しかし、家族全員が感染していれば、そうした感染対策は無意味ですし、必要ありません。基本的には外出を避けて、保健所に毎日の健康状態を報告する。食事は宅配を利用することになるでしょう」
前述した小6男児の一家も、のちに感染が判明した4人は自宅療養となった。これから先、自宅療養者がすべて無症状や軽症にとどまるとは限らない。
「オミクロン株は感染力が非常に高く、この先は感染者が急増して病床が逼迫することが考えられます。すると都道府県によっては、重症化しても自宅療養となるケースが出てくる可能性がある。その場合、感染している家族が重症者の面倒を見ることになるかもしれません」(上さん)
やはり家族全滅感染を避ける心がけは必要だ。
「“軽症だし感染しても大丈夫だ”と高をくくって感染対策を怠ると、重症者が自宅療養になるリスクに直面します。オミクロン株は軽症が多いとされますが、高齢者や基礎疾患がある人は依然として重症化リスクがあり、後遺症も心配なので、感染を極力避ける努力が必要です。そのためにも感染防止の徹底が求められます」(上さん)
オミクロン株の後遺症に“異変”が起きているという。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんはこう話す。
「オミクロン感染の後遺症としては背部痛が報告されており、嗅覚・味覚異常は少ない可能性があり、従来のパターンと異なるかもしれません。まだ急激に感染拡大して間もないので、今後の国内外の報告が待たれます」
オミクロン株は家庭内で猛威を振るうと心したい。
※女性セブン2022年2月3日号