「東洋の魔女」が世界一のチームとなった要因を『「東洋の魔女」論』(イースト新書)の著書である新雅史氏はこう分析する。
「『東洋の魔女』は6人で固定されたメンバーでした。大松監督は代えのきかない人材を鍛え上げた。さらに東京五輪で金メダルというのは、彼女たちにとっては唯一無二の目標。次の五輪に再挑戦するなんて考えられないわけです。周囲の女性が次々に結婚していくなか、『この境遇は自分たちにしか分からない』という共有した思いが、公私を超えた絆を生み、過酷な練習に打ち込ませ、その結果、強靱な組織が出来上がったのだと思います」
(後編に続く)
『東洋の魔女』
(監督・脚本:ジュリアン・ファロ、配給:太秦)戦争の影を引きずる日本社会に自信と誇りをもたらした東京五輪(1964年)の東洋の魔女の活躍。魔女たちが語る当時の思い出話から、新たな「東洋の魔女」像が浮き彫りになっていく。全国の劇場で公開中。
取材・文/小野雅彦
※週刊ポスト2022年2月4日号