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冬季五輪の用具開発メーカーに旨み少ない? 勝利が収益に結びつかない構造

夏季五輪とは何が異なる?(イメージ)

夏季五輪とは何が違う?(イメージ)

 北京五輪でメダル獲得を目指すアスリートたち。華やかな舞台の裏には、選手を陰ながら支えてきた「用具職人」たちの地道な努力がある。

 スピードスケート、ショートトラック、アイスホッケーなどはスケートシューズが重要なカギを握る。かつては大手スポーツメーカーもスケートシューズを製作していたが、次々に撤退。現在、日本国内でブーツやブレード(刃の部分)などスケートシューズを一から製作できる数少ないメーカーが、長野県に本社を置く「エスク」だ。SSS(サンエス)のブランドで知られ、平昌五輪でマススタートの初代女王に輝き、北京五輪で2連覇の期待がかかる高木菜那が使用していることで知られる。

「我々がやるのは『ロック』と呼ばれるブレード全体の角度の調整ですね。ブレードは一直線ではなくわずかに湾曲しています。このアーチを『ロック』といい、選手によって違います。研いだり使用したりするうちにこの湾曲がゆがんだり、真ん中だけがへこんだ2段ロックになると、滑りに影響する。『ロック』をリセットし、もう一度微調整の研磨をします。

 ブレードは選手が希望するロックに合わせて削るだけですが、ブーツのほうがシビアです。石こうで足形を取って作るんですが、履いてみて硬く感じる部分があれば素材を変えたりします。滑っては調整し、調整しては滑る。そうやって1年ほどかけて調整します」(ブーツ担当の吉田健二氏)

売り上げには直結しない

 用具の開発には時間も費用もかかるが、夏季五輪と異なり「旨み」は少ないという。スケートシューズを製作する前出の「エスク」の吉田氏は苦笑いを浮かべる。

「トップ選手に使用してもらえて名誉には思いますが、販売に直結はしないです。シルバーかゴールドでロゴのマークを入れてあるんですが、小さくて目立たないうえ、シューズカバーをする選手が多いんですよね。それにテレビとかでは上半身が映る。なかなかシューズのアップというのはないですからね」

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