ライフ

公募川柳がひそかなブーム 「シルバー川柳」には昨年1.6万作の応募も

川柳教室に通う人も増えているという(イメージ)

川柳教室に通う人も増えているという(イメージ)

〈全集中 しても開かない 瓶の蓋〉、〈「密です」と 言われてみたい 頭頂部〉。これらの句は、全国有料老人ホーム協会が毎年公募する「シルバー川柳」の昨年の入選作品だ。

 ユーモアや悲哀、世相を五・七・五で表現する川柳が今、ひそかなブームだ。シルバー川柳の広報担当者が語る。

「例年は約1万2000~1万3000作のところ、昨年は約1万6600作の応募がありました。特にテーマは設定していませんが、クスッと笑える力作が集まります」

 人生の機微を表現する川柳は、歳を重ねるほどに良作を生みやすくなるという。千葉県に住む勝又康之さん(79)は、70歳で川柳の魅力に開眼。今では数々の公募川柳に投句している。

「新聞や雑誌への投句から始め、地元の川柳教室にも通って仲間と切磋琢磨しています。ボケ防止や社会を考える良い機会になり、初めて新聞に掲載された時は本当に嬉しかったですね」

 NPO法人シニア大樂で、川柳教室「しにあせん(シニア川柳)」を主宰する藤井敬三氏もブームの広がりを実感する。

「教室には約70人が参加し、最高年齢は92歳です。たった17文字の短い言葉に意味を込める川柳は頭の体操になるし、入選すれば大きな励みになる。なかには応募を生きがいにしている方もいます」

 川柳学会専務理事で十六代目川柳の尾藤川柳氏は、「公募の賞での入選を目指すことこそが醍醐味」だと語る。

「現在、公募川柳は年間100以上あります。季語や切れ字(※「や」「かな」「けり」などを句に用い、感嘆や詠嘆を表わす俳句の技法)などの制約がある俳句と比べ、ハードルが低く参加しやすい。

 江戸時代中期に柄井川柳が七・七の前句を出題し、参加者がその後に続く五・七・五の付句を競ったのが川柳の始まりといわれ、公募が基本です。その後は衰退期もありましたが、新聞川柳や1987年にサラリーマン川柳が生まれ、人気が復活しました。川柳は公募の仕組みによって長く支えられてきた独特の文化なのです」

 ここ10~20年で様々な公募川柳が登場した。高血圧川柳や介護川柳、相続川柳など暮らしと密接に関連するものや、企業が自社PRのために賞金を用意するものもある。なかには大賞で10万円クラスのものもある(別掲表)。

※週刊ポスト2022年3月18・25日号

関連記事

トピックス

岡田監督
【記事から消えた「お~ん」】阪神・岡田監督が囲み取材再開も、記者の“録音自粛”で「そらそうよ」や関西弁など各紙共通の表現が消滅
NEWSポストセブン
成田きんさんの息子・幸男さん
【きんさん・ぎんさん】成田きんさんの息子・幸男さんは93歳 長寿の秘訣は「洒落っ気、色っ気、食いっ気です」
週刊ポスト
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
不倫騒動や事務所からの独立で世間の話題となった広末涼子(時事通信フォト)
《「子供たちのために…」に批判の声》広末涼子、復帰するも立ちはだかる「壁」 ”完全復活”のために今からでも遅くない「記者会見」を開く必要性
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン