「変わりゆく世界で変わらないネタを」
──芸人活動を続ける支えになったご両親の言葉はありましたか?
高木:子供の頃から「シンちゃんは麦のようになりなさい。麦は踏まれても踏まれても立ち上がる」って言われていて、その言葉は今でも心の中にずっと残っているんです。ほぼ毎日言われ続けていましたから。だから踏まれても立ち上がる人間になろう、一発屋と呼ばれても腐らずにお笑いを続けていこうと、芸人として活動する支えになりました。
──ご両親の他に、活動の支えになった人物はいらっしゃいましたか?
高木:たくさんの先輩芸人の方々から支えになる言葉をいただいてきました。特に印象に残っているのは次長課長の河本準一さん。ブレイクする前からお世話になっていて、ネタを面白がってくれていました。
「ななななー」のブームが去ってテレビに出なくなった時、僕たち自身がジョイマンのネタに飽きているように見えたからか、Twitterで河本さんが「自分であきたらあかんで ずっとやろうなぁ。俺好きやしなぁ」ってリプライをくださったことがあったんですね。その言葉はとても胸に刺さりました。
「自分で飽きちゃダメだよな」って思った。ブームが去っても面白がってネタを見てくださる方がいるかもしれないですし、続けていればそういう方々から応援していただけるかもしれない。
それと、2014年にサイン会を開催して誰も来てくれなかった“サイン会0人事件”というのがあったんですが、その時に東京ダイナマイトのハチミツ二郎さんがTwitterで「このあと大きな波が来るよジョイマンには」ってリプライをくださったこともありました。
その後、波というほどのブームではないのかもしれないですけど、僕たちとしてはもう一回上がることができたので、「本当に波が来た」って思いましたね。それも嬉しい言葉でした。
──著書『ここにいるよ』のプレスリリースでは「仕事や人生を見失ってしまったすべての人に」と記されていました。今は激動の時代と言っていいと思いますが、読者に向けてメッセージをいただけますか。
高木:毎日が目まぐるしいですよね。特にここ数年は変化が大きい。芸能界に限らず、価値観がガラッと変わることが頻繁に起きています。そういう目まぐるしさの中でも、ジョイマンのネタは15年前から変わっていないというのはお伝えしたいです。
実家のお母さんのカレーじゃないですけど、変わらない味にホッとする感覚ってありますよね。美味しくも不味くもないけど、なんか元気が出る料理。そういうものとしてジョイマンのネタをたまに見てもらえたら嬉しいです。僕らはこれからも、刻一刻と変わりゆく世界の中で、変わらないネタをやり続けていこうと思っています。【後編に続く】
◆取材・文/細田成嗣(HEW)、写真/黒石あみ