芸能

大河ドラマの殺陣指導者が語る 視聴者が納得できる「リアリティ」とは

『真田丸』で殺陣を担当した中川邦史朗氏

『真田丸』で殺陣を担当した中川邦史朗氏

『真田丸』で殺陣を担当した中川邦史朗氏の師匠である故・林邦史朗氏は、NHK大河ドラマの初期ら殺陣を担当している。他の時代劇に比べて大河は合戦シーンが多いが、どのように作られてきたのか。時代劇研究家の春日太一氏が、林氏の殺陣チーム「若駒プロ」の一員として携わってきた中川氏に、その秘話をう聞いた。

 * * *
中川:林先生が殺陣を教える俳優養成所に来ている方たちの中から「この子はできるから、今度の大河に連れてきて」と事務所に伝えて、技術があるメンバーを集めていました。ですから、合戦シーンの端役でもある程度は技量がある人が集められています。

──合戦での動きはどのように指示されていたのでしょう?

中川:何人かのグループに分かれて、そのグループごとに若駒アクション部が一人ずつ入って束ねていました。そしてモニターで確認しながら、「あそこはちょっとスピードがぬるいな」とか、「もうちょっと激しくやって」とか「あそこはもうちょっとカメラ方向に寄せて」とか、指示を出していくわけです。その上で束ね役が一人一人に動きをつけていきます。

 基本的にカメラ前の目立つところとか、画面の手前は細かく殺陣をつけますが、奥のほうは割と自由にやってもらっているんです。それよりも、怪我のないようにすることが大事でした。

──そうなると、束ね役として前線に出向くお弟子さんたちの役割も重要になりますね。

中川:そう。分業作業でもあるんです。出演者の人数が一番多かったのが『葵 徳川三代』(二〇〇〇年)でした。

 あの時は、うちのメンバー一人につき、十五人から二十人ぐらい束ねていましたね。「中川チームはあのへんあたりに行って」と指示をされたら、そこにエキストラの人たちを連れていって画を埋めていきました。

──個々の兵たちの戦闘での動きはどのようにつけられたのでしょう?

中川:「そういうふうに戦うよね」という、視聴者にとって理にかなうと思ってもらえるようなリアリティを大事にしていました。いかに危なくないように、リアリティを積み上げていくか。

 たとえ、それが「作り物」だとしても、観ている人に「本物」と思ってもらえることが大事です。

「ああ、そうか、そうなるかもしれない」って視聴者を納得させられないと。それがないと、観ていても軍勢同士がバーンってぶつかり合うだけで終わってしまいますから。

関連記事

トピックス

エンゼルス時代、チームメートとのコミュニケーションのためポーカーに参加していたことも(写真/AFP=時事)
《水原一平容疑者「違法賭博の入り口」だったのか》大谷翔平も参加していたエンゼルス“ベンチ裏ポーカー”の実態 「大谷はビギナーズラックで勝っていた」
週刊ポスト
中条きよし氏、トラブルの真相は?(時事通信フォト)
【スクープ全文公開】中条きよし参院議員が“闇金顔負け”の年利60%の高利貸し、出資法違反の重大疑惑 直撃には「貸しましたよ。もちろん」
週刊ポスト
昨秋からはオーストラリアを拠点に練習を重ねてきた池江璃花子(時事通信フォト)
【パリ五輪でのメダル獲得に向けて】池江璃花子、オーストラリア生活を支える相方は元“長友佑都の専属シェフ”
週刊ポスト
大の里
新三役・大の里を待つ試練 元・嘉風の中村親方独立で懸念される「監視の目がなくなる問題」
NEWSポストセブン
店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
乱戦の東京15区補選を制した酒井菜摘候補(撮影:小川裕夫)
東京15区で注目を浴びた選挙「妨害」 果たして、公職選挙法改正で取り締まるべきなのか
NEWSポストセブン
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
成田きんさんの息子・幸男さん
【きんさん・ぎんさん】成田きんさんの息子・幸男さんは93歳 長寿の秘訣は「洒落っ気、色っ気、食いっ気です」
週刊ポスト
「週刊ポスト」本日発売! 岸田自民「補助金バラ撒きリスト」入手ほか
「週刊ポスト」本日発売! 岸田自民「補助金バラ撒きリスト」入手ほか
NEWSポストセブン